テレビで諸星大二郎の特集が放送されていました。私も高校生の頃夢中になって読んだのでとても興味を持って放送を見ました。
本棚にある「暗黒神話」を取り出して読み返したりしながら,諸星大二郎のおもしろさについていろいろと調べてみました。
諸星大二郎とは?
諸星大二郎は、1970年代中頃から週刊少年ジャンプに連載した異色SF漫画家です。
その独特な歴史観と世界観から発想される思いもよらない歴史の世界に、当時少年だった僕たちはほぼトラウマになるほどの衝撃を受けました。
歴史,宗教,世界各地の神話などに深い知識を持っており,それを樹王無人に組み合わせて,あっとおどろくような発想で,物語をつくっていきます。
今年,漫画家生活50周年を迎えるという諸星大二郎氏。
僕はその初期作品をリアルタイムで読んでそのあまりのおもしろさに,その後の読書生活に大きな影響を与えられました。
諸星大二郎のおすすめ漫画三選
暗黒神話
暗黒神話は、妖怪ハンターに次ぐ、ジャンプでの連載作品です。
1976年から連載されました。
古代から星空へとつながる壮大な物語で、当時高校生だった僕は、その発想に毎回驚かされながら読み進めたことを覚えています。
トラウマ要素満載で、現代に登場する老人が、古代から命を長らえて来た武内宿禰であったり、
生命培養液から出てきた古代の女性が溶けて壊れたり(↓の場面ですね)
古代の魔物ヒルコが出現したりなど、何年経ってもその衝撃を忘れることはありません。
そこで、おすすめ一位にしました。
孔子暗黒伝
暗黒神話の後、1977年から連載された作品。
この時、僕は高校生。
暗黒神話が日本の壮大な古代史ミステリーであるのにたいし,孔子暗黒伝は夏王朝からの中国から始まるものがたり。
よりスケールがでかくなり,ぶっとんでいます。
諸星大二郎氏の知識がすごすぎるんですが,そのあふれんばかりの宗教,歴史,神話等を縦横無尽につなぎ合わせて,そんなに難しくないように料理して見せてくれるので,楽しく読めていました。
しかし,あらためて見ると,こんな感じのページが延々と続きます。
これ,ジャンプですからね。
当時のジャンプ,すごかったですね。
読んでる僕たちもすごかったんですよ。きっと。
お話のスケールとぶったまげるような発想の面白さでは一番だと思うんですが,やはり暗黒神話で味わったトラウマ的な面白さのほうが上。
ということで2位に。
妖怪ハンター
妖怪ハンターは、諸星大二郎氏のはじめての連載漫画です。
1974年からというとこで、世の中まさにユリ・ゲラーに代表される超能力ブームと、ノストラダムスの大予言に代表される終末ブームとが一度に訪れた時代でした。
そんな中で開始された妖怪ハンターの連載は、少年たちの心にしっかりとくいこみました。
主人公は稗田礼二郎。
考古学者ですが、異端という設定です。
異端だからなんでもありです。
しかし、この物語に妖怪が出ることはなく、また、主人公がハンターとなって悪者を倒すわけでもありません。
かれは学者としての調査をしているに過ぎません。
その最中に出くわす様々な不思議な出来事を,観察者の目として書いているというお話です。
この作品からハマった人も数多くいるようですね。
諸星大二郎漫画の最高傑作 「暗黒神話」
これ,人によって全然異なるんですが,
「最高傑作」ということばでよく言われているのは,暗黒神話,孔子暗黒伝。
そして「生命の木」と答える人がかなりいます。
僕はやっぱり暗黒神話ですね。
どこにでもいるような普通の子どもが,あるひ出会って不思議な老人から自分はヤマトタケルノミコトの生まれ変わりだと知らされたこと。
老人は武内宿禰であり,生命維持装置でずっと行き続けているということ
謎を追ってさまざまな遺跡をたどり,最後にはアートマンとして地球の運命を見届けるものになること・・
毎回,その驚きの連続にわくわくしてよんだものでした。
壁画に書かれた模様と,オリオン座の馬頭星雲が繋げられたり,
古墳の玄室におかれた石がわれて,中に生命維持液が満たされていて,武内宿禰など古代の人達がリアルに目を覚まして出てくるところなど,今でもトラウマ的おもしろさに忘れられません。
諸星大二郎氏がナウシカやもののけ姫に影響を与えたと言われる理由
宮崎駿氏が、諸星大二郎氏の絵柄に影響を受けていると感じている人は,たくさんいますね。
ナウシカのマンが読んだ人が,よく下のようにツイートしています。
タッチがそっくりという人もよく見かけます。
出てくるもののモチーフが,諸星作品にあると考えている人も多いです。
タペストリーの絵,巨神兵のデザインなど。
この方などは問答無用ですね。ナウシカといえば,諸星大二郎。
下のツイートのように宮崎作品の元ネタが全部諸星大二郎に行き着くという考え方もあり,ここまでいくといったいどうなのかなあと思います。
そのへん,実際のところどうなの?と思っていると,こんなツイートが見つかりました。
「宮崎監督は,ナウシカを諸星大二郎氏に描いてほしかった」とあります。
また,コンテに,「諸星大二郎」の名が出ているツイートも。
これは,確かに諸星氏を意識している証拠と言っていいですね。
そして,きわめつけはこちら。
この写真の雑誌の文の中に,宮崎氏が諸星氏に描いてほしかったと書いている部分があります。
「実をいうと,『風の谷のナウシカ』を描いていた時に,話は僕が作るから,諸星さんが描いてくれないかなぁと思ったことがあるんですよ」
宮崎駿氏の作品に諸星大二郎が影響を与えているというのは,確かに言えそうですね。