「千島列島でM9.9?震度7?」
2026年10月16日のお昼、北海道から中部地方まで、スマホの緊急地震速報がいっせいに鳴りました。

ところが、実際の揺れは函館市の震度1だけでした。
しかも、ドコモのスマホは鳴らなかったという声がたくさん上がっています。
その後、気象庁とドコモから続報が出て、原因がわかってきました。
答えから言うと、M9.9になったわけの1つは、気象庁の仕組みが動いていなかったことです(気象庁の第3報)。
2020年の誤報のあとに入れた、震源から700km以上遠い地震計は使わない、という仕組みです。
そして、ドコモが鳴らなかったのは、気象庁から届いたデータの形がいつもと少しちがったからです(ドコモのお知らせ(第二報))。
ドコモのシステムが、それを読みとれませんでした。
ドコモは、10月17日中に直し終える見こみと言っています。
この記事では、誤報が起きたわけと、鳴らなかったときにやっておきたいことを、気象庁とドコモの発表からまとめました。
この記事のポイントは以下の4点です。
- 本当の地震はカムチャツカ半島付近のM6.9で、最大は震度1
- M9.9になったのは、遠い地震に国内用の式を使い、700km以上遠い地震計を外す仕組みも動かず、震源も2つに分かれていたから
- ドコモは、いつもと形が少しちがうデータを読みとれず、北海道から東海までエリアメールが届かなかった
- ドコモが直ったと発表するまでは、テレビやラジオ、防災アプリでも情報をとれるようにしておく
緊急地震速報の誤報はなぜ?M9.9の原因と取り消しの理由
- 緊急地震速報の誤報はいつ?千島列島の速報と8分後の取り消し
- 緊急地震速報の誤報の原因は?M9.9と出たわけと、動かなかった仕組み
- 緊急地震速報の誤報のその後は?気象庁とドコモの続報の流れ
- 緊急地震速報の取り消しとは?取消の通知でもう一度鳴ったわけ
- 緊急地震速報の誤報は過去にも?2013年と2020年の例
緊急地震速報の誤報はいつ?千島列島の速報と8分後の取り消し

地震がおきたのは、10月16日の12時38分ごろです(気象庁の資料)。
場所はカムチャツカ半島の近くで、マグニチュードは6.9でした。
震源の深さは約160kmで、日本で観測した揺れは函館市の震度1だけです(気象庁の資料)。
ところが、気象庁は12時40分に、北海道から中部地方へ緊急地震速報(警報)を出しました。
速報では、震源は千島列島で、マグニチュードは9.9となっていました。
いちばん強いところは根室地方北部で、震度5弱から7程度と予想されていました(気象庁の資料)。

防災アプリの画面には、こんな数字が並んでいました。

そして8分後の12時48分に、速報は取り消されました(マイナビニュース)。

緊急地震速報の誤報の原因は?M9.9と出たわけと、動かなかった仕組み
気象庁は、16日の夕方の発表(第2報)で、わけを2つあげました(気象庁の発表)。
1つ目は、日本からとても遠い地震なのに、国内の地震用の式でマグニチュードを計算したことです。
2つ目は、マグニチュードを計算した震源と、震度を予想した震源が、別々の場所だったことです。
本当は、この2つは同じ場所でないといけません。
地図で見ると、マグニチュードを計算した震源は、カムチャツカ半島の南東の沖あたりです(気象庁の資料)。
ところが震度は、それより日本に近い千島列島を震源にして予想していました。
遠い沖の震源で出したM9.9を、日本に近い千島列島の震源にあてはめて震度を予想したので、根室地方北部で最大震度7程度という予想になりました。
そして、16日の夜の発表(第3報)で、もう一歩くわしいことがわかりました(気象庁の第3報)。
M9.9と大きく出すぎた原因の1つは、震源から遠い地震計のデータを、マグニチュードの計算に使ったことです。
気象庁は、2020年の誤報のあと、震源から700km以上遠い地震計は、マグニチュードの計算に使わないようにしていました。
ところが今回は、この仕組みが正しく動いていなかったのです。
気象庁は、16日の21時30分ごろに、この仕組みが動くように急いで直しました。
直したあとで今回の地震を計算し直すと、緊急地震速報(警報)は出なくなることも確かめています。
気象庁は、これからも調べて、必要な手を打つと言っています。
ちなみに、M9.9がどれくらい大きいかというと、記録に残るいちばん大きな地震の1つ、1960年のチリ地震でもM9.5です(マイナビニュース)。
会見では、サイバー攻撃ではないかという質問も出ました。
気象庁は、攻撃を受けたという報告はないと答えています(マイナビニュース)。
機械がこわれたのではなく、プログラムなどの処理が原因、という見方も示していました(ITmedia Mobile)。
緊急地震速報の誤報のその後は?気象庁とドコモの続報の流れ
16日のお昼から17日のお昼までに、発表がいくつも出ました。
順番に並べると、こうなります。
| いつ | だれが | 何を発表したか |
|---|---|---|
| 16日12時40分 | 気象庁 | 千島列島でM9.9の緊急地震速報(警報) |
| 16日12時48分 | 気象庁 | 速報を取り消し |
| 16日14時ごろ | 気象庁 | 1回目の会見。地震の中身と、取り消したことを説明 |
| 16日17時30分 | 気象庁(第2報) | 国内用の式を使ったことと、震源が2つに分かれていたことを説明 |
| 16日(時刻の記載なし) | ドコモ | エリアメールが届かなかったとおわび。原因は自社のシステムの不具合 |
| 16日21時30分ごろ | 気象庁 | 700km以上遠い地震計を使わない仕組みが動くように直した |
| 16日22時40分 | 気象庁(第3報) | その仕組みが動いていなかったことを発表 |
| 17日12時30分時点 | ドコモ(第二報) | データの形がいつもと少しちがったことが原因。17日中に直し終える見こみ |
気象庁の時刻は、それぞれの発表の資料にあります(気象庁の資料、気象庁の発表、気象庁の第3報)。
取り消しの時刻と1回目の会見の時刻は、報道にあります(マイナビニュース、ITmedia Mobile)。
ドコモの時刻は、ドコモのお知らせにあります(ドコモのお知らせ(第二報))。
ドコモが「直りました」と発表するまでは、届かないことがあるつもりでいるのが安心です。
緊急地震速報の取り消しとは?取消の通知でもう一度鳴ったわけ
取り消しの知らせにも、いつもの音が鳴って、びっくりした人も多いですよね。
これは、取り消しの知らせも同じ音で鳴る決まりになっているからです(マイナビニュース)。

Xでは、取り消しのときは音を鳴らさないでほしい、という声も多く出ました。
気象庁は会見で、今のところ、音を変える話はしていないと答えています(ITmedia Mobile)。
ただ、約20年前に始めたころの決まりのまま動いているので、必要なら考えるべきだ、とも話しています。
警報の取り消しは、めったにありません。
気象庁の解説ページでは、予想の震度が下がっただけでは、警報は取り消さないとしています(気象庁の解説)。
一方で、会見の説明では、警報のあと実際の揺れが最大で震度2以下だったときは、取り消す決まりになっています(マイナビニュース)。
今回は函館市の震度1だけだったので、これに当たって取り消しました。
緊急地震速報(警報)の取り消しは、2007年に始まってから今回が初めてです(ITmedia Mobile)。
緊急地震速報の誤報は過去にも?2013年と2020年の例
大きすぎる速報が出たことは、前にもあります。
| 日付 | 速報の中身 | 本当の地震 | わけ |
|---|---|---|---|
| 2013年8月8日 | M7.8 | 和歌山県北部のM2.3、震度1以上なし | 海の底の地震計の雑音を揺れとして計算した |
| 2020年7月30日 | 関東などに警報 | 鳥島近海のM5.8、震度1以上なし | 震源を房総半島の南の沖とまちがえ、800km以上はなれた地震計のデータでM7.3と計算した |
| 2026年10月16日 | M9.9、最大震度5弱から7程度 | カムチャツカ半島付近のM6.9、最大震度1 | 遠い地震に国内用の式を使った。700km以上遠い地震計を外す仕組みが動かず、遠い地震計のデータで計算した。震源も2つに分かれていた |
2013年の数字は、気象庁の検討会の資料にあります(気象庁の資料)。
このときは、地震計のデータを送る装置の不具合が原因でした(気象庁の発表)。
2020年のあとは、マグニチュードの計算に、震源から700km以内の地震計のデータだけを使うように改めています(気象庁の発表)。
今回は、2020年のあとに入れたこの仕組みが、動いていなかったというわけです(気象庁の第3報)。
緊急地震速報がドコモで鳴らない理由と、鳴らないときの設定
- 緊急地震速報がドコモだけ鳴らなかったのはなぜ?届いたデータを読みとれなかった
- ドコモの緊急地震速報はいつ直る?直るまでの備え
- 緊急地震速報が鳴らないときの設定は?iPhoneとAndroidの確かめ方
- 緊急地震速報が鳴ったらどうする?誤報でもまず身を守る
緊急地震速報がドコモだけ鳴らなかったのはなぜ?届いたデータを読みとれなかった

ドコモのスマホが鳴らなかったのは、ドコモのシステムの不具合です(ドコモのお知らせ)。
自分のスマホの設定が悪かったわけではありません。
届かなかった地域は、北海道、東北、北陸、関東、甲信、東海、伊豆諸島です。
検索では「ドコモだけならなかった」とひらがなで打つ人もいます。
ドコモの料金プランのahamoでも、「鳴らなかった」という声が出ています(J-CASTニュース)。

17日の第二報で、くわしいわけがわかりました(ドコモのお知らせ(第二報))。
今回、気象庁から届いた緊急地震速報のデータは、いつもと形が一部ちがっていました。
ドコモのシステムは、それを正しい情報だと読みとれず、エリアメールを送れなかったのです。
いつもどおりの形のデータなら、ふつうに届くことは確かめてあるそうです。
報道によると、この不具合は2012年からあったもので、今回はじめて見つかりました(読売新聞オンライン)。
これまではエリアメールがふつうに届いていたので、気づくのが遅れたそうです。
同じ人が持っている2台のスマホをくらべた投稿もありました。
ソフトバンクには速報と取り消しが届き、ドコモの履歴には10月16日の知らせが残っていません。

au、ソフトバンク、楽天モバイルでは、16日の速報は正しく届いていました(ケータイWatch)。
ドコモの緊急地震速報はいつ直る?直るまでの備え
ドコモは17日の第二報で、10月17日中に直し終える見こみと発表しました(ドコモのお知らせ(第二報))。
今回のような形のデータでも、エリアメールを送れるように直しているところです。
直ったかどうかは、ドコモのお知らせのページで確かめられます。

直ったと発表されるまで、ドコモを使っている人は、ほかの道でも速報をとれるようにしておくと安心です。
たとえば、テレビやラジオは、緊急地震速報が出ると放送で知らせてくれます。
防災アプリを入れておくのも1つの手です。
今回も、ドコモのスマホでエリアメールは鳴りませんでした。
それでも、防災アプリの「特務機関NERV防災」で気づけた、という人がいました(rigrgrgさんのXの投稿)。
このアプリは、大きな揺れが来るまでの秒数も出してくれます(特務機関NERV防災)。
ドコモでエリアメールは鳴らなかったけれど、Yahoo!防災速報のアプリが鳴った、という人もいます(lanbou555さんのXの投稿)。
使いやすいアプリを1つ選んで、入れておきましょう。
わからないことは、ドコモインフォメーションセンターに聞けます。
ドコモのスマホからは151、ほかの電話からは0120-800-000です(ドコモのお知らせ(第二報))。
受付は9時から20時です。
緊急地震速報が鳴らないときの設定は?iPhoneとAndroidの確かめ方
今回の件とは別に、そもそも受け取る設定がオフになっていることもあります。
この機会に、一度見ておきましょう。
ドコモの案内では、次のところで確かめられます(ドコモの設定・確認方法)。
| スマホ | 確かめるところ |
|---|---|
| iPhone | 「設定」→「通知」→いちばん下の「緊急速報」がオンになっているか |
| ドコモのAndroid(8.1以上) | 「災害用キット」→「緊急速報エリアメール」→メニュー→「設定」→「エリアメールの許可」がオンになっているか |
Androidは、機種によって名前がちがいます。
「緊急速報メール」という名前のこともあるので、設定の検索で「緊急」と打つと見つけやすいですよ。

設定がオンでも、届かないときがあります。
電源が切れているとき、機内モードのとき、電波が弱いところでは届きません(ドコモのご注意事項)。
届かなかった知らせを、あとから受け取り直すこともできません。
音については、iPhoneの緊急地震速報は、いつも最大の音量で鳴ります。
Androidは機種によっては、マナーモードのときに専用の音が鳴らないことがあります。
緊急地震速報が鳴ったらどうする?誤報でもまず身を守る
今回は誤報でしたが、「次に鳴っても、どうせまちがいでしょ」と思うのは危ないです。
ふつうは、速報から強い揺れまで、数秒から長くても数十秒ほどしかありません(気象庁の解説)。
震源が近いと、速報が揺れに間に合わないこともあります。

気象庁は、鳴ったらまわりの人に声をかけながら、あわてずに、まず身の安全を守るように呼びかけています(気象庁の解説)。
| いる場所 | すること |
|---|---|
| 家 | 頭を守って、じょうぶな机の下へ。外へ飛び出さない。火は無理に消さない |
| 人が多いお店など | 係の人の言うことを聞く。出口へあわてて走らない |
| 外 | ブロック塀や、看板やガラスが落ちてこないかに気をつける |
| 電車やバス | つり革や手すりにしっかりつかまる |
| エレベーター | いちばん近い階で止めて、すぐに降りる |
| 車を運転中 | 急ブレーキをかけず、ゆっくりスピードを落とす。ハザードランプをつける |
身を守って何もなければ、それでよしと考えておきましょう。
まとめ
まずは、緊急地震速報の誤報のおさらいです。
緊急地震速報の誤報は、10月16日の12時40分に千島列島のM9.9として出され、8分後の12時48分に取り消されました。
誤報の原因は、遠い地震に国内用の式を使ったことと、マグニチュードと震度の計算に使った震源が2つに分かれていたことです。
さらに、700km以上遠い地震計を計算から外す仕組みが、動いていませんでした。
誤報のその後は、気象庁が16日の夜にその仕組みを直し、ドコモは17日中に直し終える見こみです。
緊急地震速報の取り消しは、取消の通知も同じ音で鳴る決まりで、警報の取り消しは2007年に始まってから初めてです。
緊急地震速報の誤報は過去にも、2013年と2020年に起きています。
次に、ドコモで鳴らなかった件です。
緊急地震速報がドコモだけ鳴らなかったのは、気象庁から届いたいつもと少しちがう形のデータを、ドコモのシステムが読みとれなかったからです。
自分の設定のせいではありません。
ドコモの緊急地震速報がいつ直るかは、ドコモのお知らせで確かめ、それまではテレビやラジオ、防災アプリでも情報をとれるようにしておきましょう。
緊急地震速報が鳴らないときの設定は、iPhoneなら「通知」の「緊急速報」、ドコモのAndroidなら「災害用キット」で確かめられます。
緊急地震速報が鳴ったら、誤報かもと思っても、まず身を守ってください。
今夜のうちに、スマホの設定を一度のぞいてみてくださいね。


