
きつねが油揚げを好きと言われるわけには、いくつか説があります。
毛の色が油揚げに似ているから、もとはネズミの天ぷらだったから、などです。
でも、野生のきつねがふだん食べているのは、ネズミや鳥、昆虫や果実などです。
「きつねって、本当に油揚げを食べるの?」
「お稲荷さんに油揚げを持っていきたいけど、そのまま置いて帰っていいの?」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
この記事では、伏見稲荷大社などのページで、きつねと油揚げの由来を確かめました。
油揚げを供えている神社の決まりを表にして、供える手順と、供えたあとに持ち帰るかどうかも紹介します。
読み終わるころには、次にお稲荷さんへ行くとき、迷わずにお供えができますよ。
この記事のポイントは以下の4点です。
- きつねと油揚げの由来は「ネズミの天ぷらが油揚げに変わった」などの説がある
- 野生のきつねの食べ物は、ネズミ、鳥、昆虫、魚、果実など。油揚げをあげてはいけない
- 稲荷神社のお供えは、ろうそくと油揚げを決まった台に置く神社もある
- 袋から出して供えた油揚げは、お参りのあとに持ち帰ると安心
きつねはなぜ油揚げが好き?由来と本当の好物
- きつねはなぜ油揚げが好き?もとはネズミの天ぷら説
- 稲荷神社のきつねはなぜ油揚げ?お稲荷さんのお使いだから
- 狐は本当に油揚げを食べる?野生のきつねの好物
- きつねに油揚げをあげてもいい?野生のきつねの餌やりはだめ
- きつねうどんはなぜ「きつね」?発祥は大阪
きつねはなぜ油揚げが好き?もとはネズミの天ぷら説

きつねと油揚げの話には、いくつかの説があります。
お酢のミツカンのページでは、こんな説が紹介されています(ミツカン すしラボ「初午いなりと稲荷ずし」)。
- きつねの毛の色が、油揚げに似ているから
- きつねの好物が、油揚げだと言われてきたから
- きつねの好物はネズミの天ぷらだった。それが仏教の影響で、肉を使わない油揚げに変わった
3つ目の説は、ちょっと意外ですよね。
仏教では生きものを食べることを避けるので、ネズミの代わりに、大豆で作る油揚げが選ばれた、というわけです。
どれが正しいと決まっているわけではありません。
ただ、どの説も、お稲荷さんへのお供えとつながっています。
稲荷神社のきつねはなぜ油揚げ?お稲荷さんのお使いだから

お稲荷さんの神様は、きつねではありません。
きつねは、神様のお使いです。
総本宮の伏見稲荷大社は、こう説明しています。
お使いのきつねは、野山にいるきつねではありません。
目に見えないので、白(透明)のきつね、「びゃっこさん」としてあがめているそうです(伏見稲荷大社「よくあるご質問」)。
では、なぜきつねがお使いになったのでしょうか。
お稲荷さんの神様、宇迦之御霊(うかのみたま)は、「御饌津神(みけつのかみ)」とも呼ばれます。
きつねの古い呼び名は「ケツ」です。
そこで「みけつ」に「三狐神」という字があてられるようになりました。
これがもとで、きつねがお使いになったのでは、という説があります(ミツカン すしラボ「初午いなりと稲荷ずし」)。
そして、お使いのきつねの好物が油揚げだと伝えられてきました。
島根県の太皷谷稲成神社は、お使いの狐の好物が油揚げなので、昔から油揚げを供えている、と説明しています(太皷谷稲成神社「お供え物(油揚げ・蝋燭)」)。
稲荷神社は全国に約3万社あり、伏見稲荷大社がその総本宮です(伏見稲荷大社「よくあるご質問」)。
狐は本当に油揚げを食べる?野生のきつねの好物

「狐は本当に油揚げが好きなの?」と気になりますよね。
本州、四国、九州にいるホンドギツネは、肉も植物も食べる雑食です。
大牟田市動物園の紹介では、ネズミ、鳥、昆虫、魚、果実などを食べる、とあります。
耳がとてもよく、ネズミが立てるかすかな音も聞き分けられるそうです(大牟田市動物園「ホンドギツネ」)。
ふだん食べているものの中に、油揚げは入っていません。
油揚げが好物というのは、お稲荷さんの言い伝えの中の話と思っておくとよさそうです。
きつねに油揚げをあげてもいい?野生のきつねの餌やりはだめ

旅行先で野生のきつねを見かけても、油揚げやおやつをあげてはいけません。
北海道の札幌市は、きつねにえさをあげないよう呼びかけています。
かわいいからといって、呼び寄せたり、さわったりするのもだめです。
わけは、エキノコックスという寄生虫です。
エキノコックスの卵が口から入ると、肝臓などに寄生して病気になります。
症状が出るまで、数年から10数年かかるそうです。
キツネやそのふんにさわると、卵が体に入ることがあります(札幌市「エキノコックス症」)。
千歳市は、キツネが街に出てくる原因に「人からエサをもらっている」ことを挙げています(千歳市「キツネとエキノコックス」)。
迷ったら、こう分けて考えましょう。
| あいて | 油揚げは? |
|---|---|
| 野生のきつね | あげない。近づかない、さわらない |
| 稲荷神社のお使いのきつね | お供えしてよい。ただし神社の決まりに従う |
野山に出かけたあとは、よく手を洗いましょう。
きつねうどんはなぜ「きつね」?発祥は大阪

甘く煮た油揚げをのせたうどんを、「きつねうどん」と呼びますよね。
始まりは明治26年の大阪です。
お店は、船場のうどん屋「松葉家」(いまのうさみ亭マツバヤ)です。
添え物に出した油揚げを、お客さんが素うどんにのせて食べたのが始まりといわれます(農林水産省「うちの郷土料理 きつねうどん 大阪府」)。
名前は、きつねの好物とされる油揚げから来た、と言われています。
稲荷神社の油揚げのお供えは?供え方と持ち帰り
- 稲荷神社のお供え物は何がいい?油揚げを供える神社の決まり
- 稲荷神社に油揚げを供える手順
- お供えした油揚げは持ち帰る?置いていく?
- 2027年の初午はいつ?稲荷神社に油揚げを供える日
稲荷神社のお供え物は何がいい?油揚げを供える神社の決まり

太皷谷稲成神社は、油揚げとローソクを供えます。
北九州市の足立山妙見宮のお稲荷さんには、御神酒、お塩、油揚げなどが供えられています。
ただ、供え方の決まりは神社ごとに違います。
実際に案内を出しているところをくらべてみました。
| 場所 | 供えるもの | 決まり・お願い |
|---|---|---|
| 太皷谷稲成神社(島根県津和野町) | 油揚げとローソク | 手水舎の前のお揚げ入れに300円を入れて1つ取る。ローソクとマッチが付いている |
| 足立山妙見宮のお稲荷さん(北九州市) | 油揚げ、御神酒、お塩など | 袋から出さずに供える。出したらお参りのあとに持ち帰る。お酒のふたは閉める |
| 伏見稲荷大社の稲荷山の茶店・三徳亭(京都市) | 紅白砂糖餅やお神酒などのお供え物セット(1,500円から) | お参りのあとは持ち帰れる。ろうそくはカラス対策でとうがらし入り |
(太皷谷稲成神社「お供え物(油揚げ・蝋燭)」、足立山妙見宮「お供えの際は」、三徳亭をもとに作成)
岐阜県の千代保稲荷神社(おちょぼさん)では、わらに通した油揚げとロウソクを供える、という投稿があります(GOTOSAN1224さんのXの投稿)。
お賽銭の額で迷うときは、神社のお賽銭の額はいくらにすればいいのかも読んでみてくださいね。
稲荷神社に油揚げを供える手順

油揚げのお供えに決まった順番がある神社もあります。
太皷谷稲成神社の順番はこうです(太皷谷稲成神社「お供え物(油揚げ・蝋燭)」)。
- ローソクを燭台に立てて、火をつける
- 油揚げを、賽銭箱の両わきの御供物台に置く
- 賽銭箱の前で、二礼二拍手一礼でお参りする
太皷谷稲成神社には、お参りする場所が本殿、本殿裏、旧殿、命婦社(みょうぶしゃ)の4つあります。
4か所すべてに供える「四ケ所参り」という参り方もあるそうです。
ほかの稲荷神社に油揚げを持っていくときは、次の順で考えると安心です。
- その神社が油揚げを売っているか、案内があるかを見る。あればそれに従う
- 家から持っていくなら、袋に入れたまま供える
- お酒を供えるなら、ふたは閉めたまま
- 決められた台に置いて、お参りする
- 袋から出して供えたら、お参りのあとに持ち帰る
袋のまま供えるのと、お酒のふたを閉めるのは、足立山妙見宮のお願いに合わせたものです(足立山妙見宮「お供えの際は」)。
わけは、次の見出しで紹介します。
お供えした油揚げは持ち帰る?置いていく?

まずは、神社の案内があれば、それに従いましょう。
案内がないときは、どう供えたかで分けて考えます。
| こんなとき | どうする |
|---|---|
| 神社が油揚げを売っていて、供える台がある | 神社のやり方に従う |
| 袋に入れたまま供えた | 置いていってよい神社もある。迷ったら持ち帰る |
| 袋から出して供えた | お参りのあとに持ち帰る |
足立山妙見宮では、袋から出して供えた油揚げに、アリが群がっていました。
カラスがかじって持っていき、境内のほかの場所に落ちていたそうです。
そこで、袋を開けずに供えるか、出したらお参りのあとに持ち帰ってほしい、とお願いしています(足立山妙見宮「お供えの際は」)。
外に置いた油揚げは、鳥や虫にねらわれます。
工場の中のお稲荷さんに油揚げを供えたら、すぐトンビに持っていかれた、という投稿もありました(tamamuradelicaさんのXの投稿)。
外にある小さなお社では、持ち帰ると安心です。
持ち帰った油揚げは、おみそ汁やいなり寿司にして、いただきましょう。
油揚げではありませんが、伏見稲荷大社の稲荷山の茶店・三徳亭も、お供え物セットは「お参りのあとはお持ち帰りいただけます」と案内しています(三徳亭)。
反対に、写真の千代保稲荷神社のように、供えられた油揚げを「おさがり」として配っているところもあります。
貼り紙には「一家族2袋まで」とありました(tobeyukeさんのXの投稿)。
2027年の初午はいつ?稲荷神社に油揚げを供える日

お稲荷さんへのお参りなら、初午(はつうま)の日もおすすめです。
初午は、2月に入って最初の午(うま)の日のこと。
伏見稲荷大社の神様が稲荷山に降りたのが、和銅4年(711年)の初午の日とされています。
全国の稲荷神社では、この日に豊作や商売繁盛を願うお祭りが行われます(ミツカン すしラボ「初午いなりと稲荷ずし」)。
2027年の初午は、2月8日(月)です。
2026年は2月1日でした(くらひろ「初午とは?」)。
初午の日には、いなり寿司を供えたり食べたりする習わしがあります(くらひろ「初午とは?」)。
いなり寿司は、お稲荷さんに供えてあった油揚げにごはんを詰めて、すしにしたのが始まりといわれます。
愛知県の豊川稲荷の門前町では、江戸時代の後半に考え出されたそうです(農林水産省「うちの郷土料理 あぶらげずし/いなりずし 愛知県」)。
初午の日は、お稲荷さんに油揚げを供えて、家でいなり寿司を食べる。
きつねと油揚げの話を、まるごと楽しめる一日です。
まとめ
まずは、きつねはなぜ油揚げが好き?由来と本当の好物、のおさらいです。
きつねはなぜ油揚げが好き?もとはネズミの天ぷら説→ネズミの天ぷらが、仏教の影響で油揚げに変わったという説などがあります。
稲荷神社のきつねはなぜ油揚げ?お稲荷さんのお使いだから→お使いのきつねの好物が油揚げと伝えられ、油揚げを供える神社があります。お使いのきつねは、野山のきつねではありません。
狐は本当に油揚げを食べる?野生のきつねの好物→ネズミ、鳥、昆虫、魚、果実などを食べます。
きつねに油揚げをあげてもいい?野生のきつねの餌やりはだめ→えさはあげず、近づかず、さわらないことです。
きつねうどんはなぜ「きつね」?発祥は大阪→明治26年、大阪の松葉家で、お客さんが油揚げを素うどんにのせたのが始まりといわれます。
次に、稲荷神社の油揚げのお供えは?供え方と持ち帰り、です。
稲荷神社のお供え物は何がいい?油揚げを供える神社の決まり→油揚げとローソク、御神酒などを供える神社があります。決まりは神社ごとに違います。
稲荷神社に油揚げを供える手順→神社の案内に従い、袋のまま決められた台に置いてお参りします。
お供えした油揚げは持ち帰る?置いていく?→神社の案内に従います。袋から出して供えたら、お参りのあとに持ち帰ると安心です。
2027年の初午はいつ?稲荷神社に油揚げを供える日→2027年は2月8日(月)です。
次にお稲荷さんへ行くときは、まず油揚げの案内がないか、見てみてくださいね。


