トップ・ガン マーヴェリックが著作権違反で訴えられている理由を簡単に言うと,
ということなんです。
そして,使用権が著作権者の家族のもとに戻っていて,今はその使用権がないにのにもかかわらず,パラマウントは映画の上映を強行したという形になっているんです。
なので,記事が報道された当初ささやかれていたような,「トップ・ガン,もうけているので,おこぼれをゲットしてやろう」というような意図での言いがかりでもなんでもないんですね。
訴えの内容には,アメリカの著作権法に基づく損害賠償と,映画の上映の差し止めがもとめられているそうです。
ということは,パラマウント側が負けたら,トップ・ガンの上映が差し止められてしまう,という可能性があるわけですね。
まだ見ていない人もたくさんいるのに,この世紀の大ヒット作が途中で上映差し止めになっては困りますね。
いったいどうなるのでしょうか。
パラマウント側は,現在強気で,しっかり戦うと勝つ気満々に表明しています。
しかし,ライセンスが切れた状態で,著作権者の著作権をおかしてしまったのはパラマウントの方ですからかなり分が悪いと言っていいでしょう。
かと言って,途中で上映差し止めになるなどということは考えられません。
ここは,和解金を支払って和解することになるでしょう。
なぜ著作権違反といわれているのか
今回,トップ・ガンが著作権違反といわれているのは,正確に言うと,トップ・ガンの元になった記事「トップ・ガンズ」を使用して映画を作る権利がきれてしまっているのに,パラマウント側がつくっちゃったということです。
どうして権利が切れたのでしょうか。
もともと,この記事が書かれたのは1983年の1月。
パラマウントがこれを見て,映画になると思いすぐに映画化のためにこの著作を使う権利を得たわけです。
そして,1986年に映画化された途端にとんでもない大ヒットになってしまったんですね。
著作者の方は,まさかこんなにヒットするとは,とびっくりされたんじゃないでしょうか。
しかし,使用権はもう売り渡しているわけです。
できれば,返してもらいたい。
アメリカの著作権法では,1977年以降の著作物については,著作権を渡しても35年経ったらその使用権を終了する権利が認められるようになりました。
これは,著作権を手放した時には,まだその作品にどれだけの価値があるかわからないのに,後々とんでもない価値が生まれてしまったという場合があるので,著作者を守るために作られたのだそうです。
今回,著作者側,御本人はすでになくなられていましたので,遺族である妻と息子がこの権利を行使しようとしたわけです。
それでトップ・ガンの上映された1986年から数えて35年たった2020年の1月に使用権を中止しますという手紙をパラマントにだしたわけです。
ところが,パラマウント側はそれを華麗にスルーしてしまい,2022年5月に上映してしまいました。
このことで,使用権もないのに,映画を作って上映した!ということで,著作者遺族による提訴となっわけです。
では,そもそもなぜ,パラマウントはちゃんと法的にクリアしないで,著作者遺族が使用権が切れる2年も前に出した手紙をスルーして映画を作ってしまったんでしょうか。
続きます。