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世界5分前仮説とは?なぜ5分?論破できない理由と反論7つへの答え

-1都市伝説

世界5分前仮説とは、「世界は5分前に、そっくりそのままの形で急にできたのかもしれない」という考えです。

イギリスの哲学者ラッセルが、1921年の本に書きました。

ここで大事なのは、ラッセル本人は「本気でそう考えよう」とは言っていないことです。

「5分より前の記憶がちゃんとある」

「写真だって残っている」

そう言い返したくなりますよね。

でも、どの反論も、なぜかうまく通じないんです。

しかも、なぜ「5分」なのかも、よくわかりません。

この記事は、「なぜ5分?」「本当に論破できないの?」がモヤモヤしている人に向けて書きました。

ラッセルの原文に、なぜ5分なのかが書いてあるかを確かめました。

よくある反論7つが、なぜ通じないのかも表にしています。

自分で確かめる手順と、怖くなったときの考え方も紹介します。

読み終わるころには、友達に聞かれても、自分の言葉で説明できるようになりますよ。

この記事のポイントは以下の4点です。

  • 世界5分前仮説は、ラッセルが1921年の本『心の分析』の「記憶」の章に書いた
  • 原文の段落には、5分にしたわけは書かれていない。1秒でも100年でも同じ理屈が通る
  • 記憶、写真、年輪、どの反論も「それも5分前にできた」と返されて通じない
  • ラッセル本人は「筋は通るが、つまらない」と書き、記憶を考える道具として使った

 

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世界5分前仮説とは?なぜ5分なのかをわかりやすく

  • 世界5分前仮説とは?わかりやすく言うと
  • 世界5分前仮説はなぜ5分?ラッセルの原文を読む
  • 世界5分前仮説の元ネタは?ラッセルとオムファロス仮説
  • 世界5分前仮説と水槽の脳の違い 似た思考実験を表でくらべる
  • 世界五分前仮説の歌詞や曲が気になる人へ

世界5分前仮説とは?わかりやすく言うと

古い家族の写真を手に持つ手元と、テーブルの上のキッチンタイマーとコーヒー

世界5分前仮説(世界五分前仮説とも書きます)を、わかりやすく言うとこうなります。

世界は、5分前にいきなりできた。

そのとき、みんなの頭の中の「昨日のこと」「子どものころのこと」の記憶も一緒にできていた。

写真も、日記も、古い家も、そのとき一緒にできた。

だから、私たちは「ずっと前から世界はあった」と思いこんでいる。

こう考えても、どこにもおかしなところがない、という話です(Wikipedia「世界五分前仮説」)。

「そんなわけない」と思いますよね。

でも、「そんなわけない」と言い切る証拠を、だれも出せないんです。

頭の中だけで試してみる考えを、思考実験と呼びます。

世界5分前仮説は、その中でも「疑ってみる」ための思考実験です(Wikipedia「世界五分前仮説」)。

 

世界5分前仮説はなぜ5分?ラッセルの原文を読む

鳩時計のイラスト

「なぜ5分なの?」は、検索の候補にも出てくる問いです。

そこで、ラッセルの原文を読んでみました。

出てくるのは、1921年の『The Analysis of Mind(心の分析)』という本の、「記憶」の章です(Project Gutenberg「The Analysis of Mind」)。

中身をかみくだくと、次のとおりです。

  1. 記憶は、思い出している「今」起きている
  2. だから、思い出した出来事が本当にあったかどうかは、理屈の上では関係がない
  3. 世界が5分前に、そっくりそのままの形でいきなりできた、と考えてみる
  4. みんながありもしない過去を「覚えていた」としても、理屈の上ではおかしくない
  5. 今起きていることや、これから起きることで、その考えを打ち消すことはできない

(Project Gutenberg「The Analysis of Mind」をもとに要約)

この段落には、なぜ5分にしたのかは書かれていません。

理屈を見ると、5分でなくても同じだとわかります。

1秒前でも、きのうでも、100年前でも、「記憶ごとできた」と言えば通ってしまうからです。

英語では、同じ考えを「先週の木曜日にできたのかも」と言いかえて、「Last Thursdayism(先週木曜日主義)」と呼ぶこともあります(Wikipedia「Omphalos hypothesis」(英語))。

5分は、「ついさっき」を表すための、わかりやすい長さだと考えられます。

ラッセル自身は、そのわけを書いていません。

 

世界5分前仮説の元ネタは?ラッセルとオムファロス仮説

切り株のイラスト

言い出したのは、バートランド・ラッセルです。

1872年にイギリスで生まれ、1970年に亡くなりました。

1950年にはノーベル文学賞を受けています(NobelPrize.org「Bertrand Russell – Facts」)。

じつは、もっと前に、よく似た考えがありました。

それがオムファロス仮説です。

1857年に、イギリスのフィリップ・ヘンリー・ゴスが『Omphalos(オムファロス)』という本で書きました(Wikipedia「Omphalos hypothesis」(英語))。

中身は、神さまが世界を作ったとき、最初から古く見える形で作った、というものです。

山や谷、年輪のある木、そしておへそのあるアダムとイブです。

オムファロスは、ギリシャ語で「おへそ」という意味です(Wikipedia「Omphalos hypothesis」(英語))。

お母さんから生まれていないのに、おへそがある。

つまり、ありもしない過去の跡が、最初からついている、というわけです。

日本語版のWikipediaでも、世界5分前仮説はこのオムファロス仮説から強い影響を受けたと書かれています(Wikipedia「世界五分前仮説」)。

 

世界5分前仮説と水槽の脳の違い 似た思考実験を表でくらべる

脳の研究をしている科学者のイラスト

世界5分前仮説とよく一緒に出てくるのが、水槽の脳です。

どちらも「今わかっていることは本当?」と疑う思考実験ですが、疑う相手がちがいます。

思考実験 だれが言った? 疑っているもの
世界5分前仮説 ラッセル(1921年) 過去が本当にあったか
オムファロス仮説 ゴス(1857年) 地球の古さを示す跡が本物か
水槽の脳 パトナムの例が有名(1981年) 今見ている世界が本物か
デカルトの悪しき霊 デカルト 見たり考えたりしていることが、だまされていないか

(Wikipedia「世界五分前仮説」、Wikipedia「Omphalos hypothesis」(英語)、Wikipedia「水槽の中の脳」をもとに作成)

水槽の脳は「今」を疑い、世界5分前仮説は「過去」を疑う。

ここをおさえておくと、まぎらわしくありません。

 

世界五分前仮説の歌詞や曲が気になる人へ

ヘッドホンで音楽を聞く女性のイラスト

「世界五分前仮説 歌詞」と調べる人もいます。

これは、有形ランペイジというバンドの曲の名前です。

作ったのはsasakure.UKさんです(有形ランペイジ公式サイト「MOVIE」)。

曲は2012年に公開されました(sasakure.UK Official Website)。

バンドの公式サイトでは、「原点とも言える楽曲」と紹介されています(有形ランペイジ公式サイト「MOVIE」)。

2024年には、リマスター版が公開されました(有形ランペイジ公式サイト「MOVIE」)。

歌詞は、歌詞の検索サイトや音楽の配信サービスで見られます。

曲から哲学の話に入った人も、この記事で中身をのぞいてみてくださいね。

 

 

世界5分前仮説は論破できる?反論と否定のしかた

  • 世界5分前仮説はなぜ論破できない?反論できない理由
  • 世界5分前仮説によくある反論7つと答え
  • 世界5分前仮説を否定できなくても困らない3つの考え方
  • 世界5分前仮説を自分で確かめる3つの手順
  • 世界5分前仮説が怖いときは?怖さ別の分かれ道

世界5分前仮説はなぜ論破できない?反論できない理由

カフェで話す2人の後ろ姿。1人は窓の外の切り株を指さし、もう1人はスマホの写真の一覧を持っている

世界5分前仮説を論破しようとすると、どこかで必ずつまずきます。

わけは、私たちが「過去の証拠」と呼ぶものが、全部「今ここにあるもの」だからです。

「過去を知っている」と思っていることは、全部「今ここにあるもの」で説明できる、とラッセルは書いています。

たとえ過去がなかったとしても、今の中身はそのままでありうる、というのです(Project Gutenberg「The Analysis of Mind」)。

写真は、今ここにある紙やデータです。

記憶も、今あなたの頭の中で起きていることです。

どの証拠も、「それも5分前にできた」と言われると、それ以上言い返せません。

もう1つのわけは、原因と結果のつながりです。

「年輪が12本あるから、この木は12年前に芽を出した」と、ふだんは考えますよね。

でも、「結果があれば、必ずその前に原因がある」という決まりは、理屈だけでは出てきません。

ふだんの暮らしの中で、当たり前として使っている決まりなんです(Wikipedia「世界五分前仮説」)。

だから、今あるものをどれだけ調べても、過去を完全に証明することも、打ち消すこともできないんです。

 

世界5分前仮説によくある反論7つと答え

グループで話し合う人たちのイラスト

よく出てくる反論を7つ集めて、なぜ通じないのかを表にしました。

反論 なぜ通じない?
1. 5分より前の記憶がある 記憶ごと5分前にできた、というのが仮説の中身
2. スマホの写真に日付がある 写真も日付も、今ここにあるデータ。一緒にできたと言える
3. 家族や友達も覚えている みんながありもしない過去を「覚えていた」状態でできたと考えても、理屈の上でおかしくない、と原文にある
4. 木の年輪や地層がある 年輪から年数を出すのは、原因と結果の決まりを当たり前としているから。その決まりは理屈だけでは証明できない
5. タイマーで5分以上はかればいい タイマーを押した記憶も、今の頭の中のもの。5分前にできた記憶かもしれない
6. 科学で年代を調べればわかる 調べるのは今ある物。今やこれから起きることでは打ち消せない、とラッセルは書いている
7. 証明できないなら、意味がない ラッセルも「つまらない」と書いた。ただ、記憶とは何かを考える助けには使える

(Project Gutenberg「The Analysis of Mind」、Wikipedia「世界五分前仮説」をもとに作成。5は考え方の例)

1から6は、どれも「今ある証拠」で過去を言おうとしています。

だから、同じ一言で返されてしまうんですね。

7だけは、ちょっと話がちがいます。

世界5分前仮説は、打ち消せない一方で、証明することもできません(Wikipedia「世界五分前仮説」)。

「正しい」とも「まちがい」とも決められない話なんです。

 

世界5分前仮説を否定できなくても困らない3つの考え方

考える人のイラスト

論破はできません。

でも、「だから本当かも」と思う必要もありません。

次の3つの考え方があります。

1つ目は、ラッセル本人の考えです。

ラッセルはこう書いています。

「過去がなかった」をまじめな仮説として考えよう、という話ではない。

ほかの疑う仮説と同じく、筋は通るけれど、つまらない。

記憶を考えるときの助けに使っているだけだ、というのです(Project Gutenberg「The Analysis of Mind」)。

2つ目は、オッカムの剃刀です。

「何かを説明するのに、要る以上のことを仮定しない」という考え方です(Wikipedia「オッカムの剃刀」)。

「5分前に、世界が記憶ごといきなりできた」は、余計な仮定が多い説明です。

ただし、オッカムの剃刀は、本当かうそかを決める決まりではありません(Wikipedia「オッカムの剃刀」)。

「選ばない」ことはできても、「まちがいだ」と言い切ることはできないんです。

3つ目は、暮らしの上では何も変わらない、ということです。

仮説が本当でも、明日の予定も、あなたの記憶も、今とまったく同じです。

困ることが何もないので、ふだんどおりに過ごせばいいんです。

 

世界5分前仮説を自分で確かめる3つの手順

思い出のアルバムのイラスト

説明を読むより、自分でやってみるとすっと腹に落ちます。

友達と話すときにも使えますよ。

  1. 「5分より前に世界があった証拠」を1つ選ぶ(子どものころの写真、去年の日記など)
  2. その証拠が「今ここにあるか」を確かめる。手に持てる、画面で見られる、ならそれは今あるもの
  3. 「これが昔のものだと言えるのは、何を当たり前と思っているからか」を一言で書く(「写真は撮った日にできる」など)

3つ目で書いた一言が、ふだんは確かめずに信じている決まりです。

どの証拠を選んでも、2つ目で「今ここにある」にたどりつくはずです。

それが、ラッセルが原文で言っていることです。

 

世界5分前仮説が怖いときは?怖さ別の分かれ道

怖がるハムスターのイラスト

「世界5分前仮説 怖い」と調べる人もいます。

怖さにもいくつかあるので、自分に近いものを見てください。

こんな怖さ 考え方
自分の思い出がにせものかもしれない 仮説が本当でも、思い出の中身は今と同じ。何かが消えるわけではない
世界がまた急に消えるかもしれない この仮説は、世界の始まりの話。5分前にできたと考えても、そのせいで世界が消えやすくなる、という話ではない
だれかが作ったのなら、見張られているかもしれない 原文の段落には、だれが作ったかは出てこない。記憶を考えるための例え
考えだすと止まらず、眠れない 夜に考えない。昼間に、上の手順を紙に書いてみる

(Project Gutenberg「The Analysis of Mind」をもとに作成。4行目は考え方の例)

ラッセル本人も、まじめな仮説として考えようとは言っていません。

怖い話ではなく、「記憶って何だろう?」を考えるための入り口なんです。

 

まとめ

まずは、世界5分前仮説とは?なぜ5分なのかをわかりやすく、のおさらいです。

世界5分前仮説とは?わかりやすく言うと→世界は記憶ごと5分前にできたかもしれない、と考えてもおかしなところがない、という思考実験です。

世界5分前仮説はなぜ5分?ラッセルの原文を読む→1921年の『心の分析』の「記憶」の章で、その段落に5分にしたわけは書かれていません。1秒でも100年でも同じ理屈です。

世界5分前仮説の元ネタは?ラッセルとオムファロス仮説→1857年のゴスの、おへそのあるアダムとイブの話が、もっと前の似た考えです。

世界5分前仮説と水槽の脳の違い 似た思考実験を表でくらべる→水槽の脳は今を疑い、世界5分前仮説は過去を疑います。

世界五分前仮説の歌詞や曲が気になる人へ→有形ランペイジの曲で、2012年に公開、2024年にリマスター版が出ました。

 

次に、世界5分前仮説は論破できる?反論と否定のしかた、です。

世界5分前仮説はなぜ論破できない?反論できない理由→過去の証拠は、どれも今ここにあるものだからです。

世界5分前仮説によくある反論7つと答え→記憶、写真、年輪、タイマー、どれも「それも5分前にできた」と返されます。

世界5分前仮説を否定できなくても困らない3つの考え方→ラッセル本人の「つまらない」、オッカムの剃刀、暮らしは何も変わらない、の3つです。

世界5分前仮説を自分で確かめる3つの手順→証拠を選び、今あるかを確かめ、信じている決まりを書きます。

世界5分前仮説が怖いときは?怖さ別の分かれ道→5分前にできたと考えても、世界が消えやすくなるわけではなく、思い出の中身も今と同じです。

次に「5分前に世界ができたんだよ」と言われたら、「ラッセルも本気じゃなかったんだよ」と返してみてくださいね。

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