ナガエツルノゲイトウは、南アメリカ生まれの、水辺に生える草です。
水の中でも、陸の上でも育ちます。
国が「特定外来生物」に決めていて、勝手に育てたり運んだりできません(農林水産省「ナガエツルノゲイトウ(早期発見のために)」)。
いま、この草が千葉県の印旛沼のまわりで話題です。
9月の台風の影響で印旛沼の堤防がこわれました。
そのあと、まわりの田んぼなどで次々に見つかっているんです(日テレNEWS NNN「駆除しても“ゾンビのように再生” 千葉・印旛沼で“危険な外来植物”拡散」)。
専門家は「ゾンビのような、駆除しても駆除しても再生するという植物」と話しています。
「ゾンビって、どういうこと?」
「家の近くの川で見かけたら、どうすればいいの?」
そう思った人も多いですよね。
じつは、この草はちぎれた茎のかけらからでも、また生えてきます。
だから、よかれと思って抜いたり刈ったりすると、かえって広げてしまうことがあるんです。
この記事では、ナガエツルノゲイトウがどんな草なのか、どう見分けるのかを、まずやさしく紹介します。
そのあと、見つけたときにやること、やってはいけないことを話しますね。
千葉県以外でも見つかっている草なので、どこに住んでいる人にも役に立つはずです。
近所の水辺で見かけたときのために、見分け方だけでも知っておいてくださいね。
この記事のポイントは以下の4点です。
- ナガエツルノゲイトウは南米生まれの水辺の草で、国の特定外来生物
- 数センチの茎のかけらからも根を出す、だから「ゾンビ」
- 見分け方は、空洞の茎、向かい合う葉、白い丸い花と長い花の柄
- 見つけたら写真を撮り、市町村などに知らせる
ナガエツルノゲイトウとは?印旛沼で何が起きているのか、特徴と見分け方
- ナガエツルノゲイトウとは?南米生まれの特定外来生物
- 印旛沼のナガエツルノゲイトウ、台風のあと田んぼに流れ着いた
- ナガエツルノゲイトウの特徴、ちぎれても再生する「ゾンビ」の力
- ナガエツルノゲイトウの見分け方、白い丸い花と空洞の茎
ナガエツルノゲイトウとは?南米生まれの特定外来生物

ナガエツルノゲイトウは、南アメリカ生まれの、ヒユ科の草です。
多年草といって、毎年同じ株から生えてきます(農研機構「ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)の侵入・定着を防ぎましょう」)。
漢字では「長柄蔓野鶏頭」と書きます。
川や池で大きな群れをつくり、水の上をマットのように覆ってしまいます。
日本で最初に根づいた記録は、1989年の兵庫県尼崎市です(農林水産省「ナガエツルノゲイトウ(早期発見のために)」)。
2023年2月の時点で、25の都府県で見つかっています。
つまり、千葉県だけの話ではないんですね。
国は、この草を外来生物法の「特定外来生物」に決めています。
育てること、生きたまま持って運ぶこと、人にあげること、外に放すことなどが禁止です。
ただし、枯れたものは決まりの対象になりません。
これは、あとで話す駆除のときに大事になります。
印旛沼のナガエツルノゲイトウ、台風のあと田んぼに流れ着いた
千葉県で初めて見つかったのは、1990年の印旛沼です(千葉県「ナガエツルノゲイトウの分布図を公開します」)。
そこから30年以上たち、今は県の北部に多く広がっています。
手賀沼と印旛沼のまわり、利根川の下流、栗山川のまわりなどです。
南のほうでも、君津地区の小糸川のまわりで見つかっています。
そこへ、今回の台風です。
9月の台風の影響で印旛沼の堤防がこわれ、まわりの田んぼが水につかりました(日テレNEWS NNN「駆除しても“ゾンビのように再生” 千葉・印旛沼で“危険な外来植物”拡散」)。
水が引いたあと、成田市の田んぼなどでナガエツルノゲイトウが見つかっています。
周りの栄養をうばうので、最悪の場合は稲が育たなくなるおそれもあるそうです。
沼のほとりには、テニスコートの半分くらいのかたまりが浮くこともあるといいます。

では、千葉県のどこに住む人が気をつけるとよいのでしょうか。
県の分布図では、群れの広さで3つに分けています(千葉県「ナガエツルノゲイトウの分布図を公開します」)。
いちばん広がっている「蔓延地域」は、主に県の北部と君津地域です。
次の「拡大地域」は、長生地域の一宮川の下流です。
入りはじめの「侵入初期地域」は、長生と山武の平野の水路や、千葉地区と君津地区の川の中流から上流に散らばっています。
これから入ってくるかもしれない場所として、山武と長生の平野の水路や、東京湾に流れこむ千葉と君津の川があげられています。
このあたりの水辺を歩く人は、ちょっと気にかけておくといいですね。
ナガエツルノゲイトウの特徴、ちぎれても再生する「ゾンビ」の力
「ゾンビ」と呼ばれるわけは、その再生の力です。
ナガエツルノゲイトウは、数センチの茎のかけらからでも根を出します(千葉県君津農業事務所「ナガエツルノゲイトウに注意!」)。
茎がちぎれやすく、ちぎれた茎は水に浮きます。
それが流れていった先で根を出して、また増えるんです。

おもしろいことに、日本のナガエツルノゲイトウは花は咲くのに、種をつくりません(農林水産省「ナガエツルノゲイトウ(早期発見のために)」)。
それでも、茎や根のかけらから、どんどん増えていきます。
地面の上を刈りとっても、根が残っていれば、そこからまた生えてきます。
まっすぐ下にのびる根は、50cm以上になることもあるそうです。
しかも、水の中だけの草ではありません。
乾燥に強く、畑など陸の上でも育ちます。
エコロジー研究所の丸井英幹さんは、こう話しています(日テレNEWS NNN「駆除しても“ゾンビのように再生” 千葉・印旛沼で“危険な外来植物”拡散」)。
「99%駆除できたからといって、あと1%を持っておくと、また100%に戻るということが繰り返されます」。
少しでも残すと元に戻る、それがこの草のこわいところなんです。
ナガエツルノゲイトウの見分け方、白い丸い花と空洞の茎
では、どうやって見分ければいいのでしょうか。
農研機構の資料では、次のところを見るようにすすめています(農研機構「ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)の侵入・定着を防ぎましょう」)。
まず、茎です。
茎の中は空洞で、ストローのようになっています。
表面はなめらかで、ざらざらしていません。
節のところには、短い毛があります。
次に、葉です。
節から2枚の葉が、向かい合ってつきます。
葉は先のほうがいちばん幅が広く、先っぽは少しとがっています。

いちばんの目じるしは、花です。
夏から秋に、小さな白い花が集まって、丸い玉のようになって咲きます。
玉の大きさは、直径1〜1.5cmほどです。
そして、葉のつけねから1〜4cmほどの、細長い花の柄がのびています。
白い丸い花が、長い柄の先についていたら要注意です。
まちがえやすい草もあります。
ツルノゲイトウは、丸い花が葉のつけねにくっついて咲きます。
タカサブロウのなかまは、茎に細かい毛があり、葉のふちがぎざぎざです。
スベリヒユは、黄色い花が咲き、葉の先が丸くなっています。
ナガエツルノゲイトウの駆除方法と、見つけたときにやること
- ナガエツルノゲイトウを見つけたら、まず写真を撮って知らせる
- ナガエツルノゲイトウを持ち帰るのは法律違反、罰則も
- ナガエツルノゲイトウの駆除方法、刈るだけではかえって広がる
- 田んぼのナガエツルノゲイトウ対策、水口の網と農機の洗浄
ナガエツルノゲイトウを見つけたら、まず写真を撮って知らせる

もし家の近くの川や池で見かけたら、どうすればいいのでしょうか。
答えは、写真を撮って、知らせることです。
まだ見つかっていない地域で見つけたときが、特に大事です。
地域の環境事務所か、市町村の窓口に知らせてください(農研機構「ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)の侵入・定着を防ぎましょう」)。
花や茎、葉がわかる写真があると、話が早いですよね。
千葉県では、スマートフォンのアプリで、県民から見つけた場所を集めています(千葉県「みんなでつくろう!ちば外来水生植物マップ2026」)。
使うのは、無料のアプリ「Biome(バイオーム)」です。
期間は、2026年6月1日から11月30日までです。

やり方はかんたんです。
アプリを入れて、ユーザー登録をします。
ホーム画面の「みんなでつくろう!ちば外来水生植物マップ」を押します。
あとは、見つけた草を撮って投稿します。
ナガエツルノゲイトウのほか、オオフサモやボタンウキクサなど、7種類が対象になっています。
11月だけのお題もあります。
ナガエツルノゲイトウやオオフサモが、水の上を緑のマットのように覆っている株を3回投稿する、というものです。
集まった情報は分布図にのせられます。
そして市町村と分け合って、計画的な駆除に使われます。
ナガエツルノゲイトウを持ち帰るのは法律違反、罰則も
「めずらしい草だから、持って帰って育ててみよう」。
これは絶対にやめてくださいね。
ナガエツルノゲイトウは特定外来生物なので、生きたまま運ぶことや育てることが禁止されています(農林水産省「ナガエツルノゲイトウ(早期発見のために)」)。
きちんとした手続きをしないで、生きたまま動かすと、法律違反になります。
罰則もかなり重いんです(環境省「罰則について」)。
許可なく持ち帰って自分で楽しむために育てると、個人は1年以下の拘禁刑(刑務所に入る刑)か、100万円以下の罰金です。
許可なく外に植えたり、まいたりすると、もっと重くなります。
個人は3年以下の拘禁刑か、300万円以下の罰金です。
会社などの法人なら、1億円以下の罰金になります。
ちなみに、Googleで「ナガエツルノゲイトウ」と入れると、「食べる」という言葉もいっしょに出てきます。
でも、国や県の資料は、どれもこの草を駆除するものとして扱っています。
そもそも、生きたまま持ち帰ることが禁止です。
手を出さないのがいちばんですね。
ナガエツルノゲイトウの駆除方法、刈るだけではかえって広がる
駆除でいちばん大事なのは、かけらを広げないことです。
地面の上だけ刈りとっても、根から生えてきます(農林水産省「ナガエツルノゲイトウ(早期発見のために)」)。
だから、刈るだけでは足りません。
国は、早く見つけて早く駆除することを呼びかけています。
刈ることが、逆効果になることもあります。
田んぼのあぜを草刈りで管理していたら、かえってナガエツルノゲイトウがしげってしまった、という例もあるんです(農研機構「ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)の侵入・定着を防ぎましょう」)。
刈ったときに飛び散ったかけらから、また根を出すからですね。

取りのぞいたあとの始末にも、決まった手順があります。
水気を切って、ゴミ袋に入れます。
口をかたく結んで、燃やして処分します。
くわしくは、地方環境事務所などに問い合わせるようすすめられています。
1人で全部やろうとしなくても大丈夫です。
地域の人やボランティアで駆除することもできます(農林水産省「ナガエツルノゲイトウ(早期発見のために)」)。
前もって、広報などで知らせておきます。
運ぶときは、かけらが散らないようにします。
そうすれば、生きたまま焼却施設などへ運べます。
見つけた人の役目は、まず知らせることと考えておくといいですよ。
田んぼのナガエツルノゲイトウ対策、水口の網と農機の洗浄
田んぼをやっている人は、入り口をふさぐのが一番の対策です。
田んぼに水を入れる口を、水口といいます。
千葉県は、ここに網目3ミリほどの網をつけるようすすめています(千葉県「ナガエツルノゲイトウ対策」)。
種もみを入れる袋などで代わりになります。
水といっしょに流れてくる茎や葉を、ここで止めるわけです。
水口のまわりは、こまめに見て回りましょう。

農機について広がることもあります。
だから、まだ生えていない田んぼから先に耕します。
耕したあとは、農機をよく洗います。
あぜや田んぼの中に生えてしまったら、除草剤で防ぎます。
農研機構は、この草に効く除草剤を紹介しています。
田植えのあとに、2種類を順番に使う方法です(農研機構「ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)の侵入・定着を防ぎましょう」)。
くわしい使い方は、県のチラシや、農林水産省の駆除マニュアルにのっています。
困ったときは、県の窓口に相談できます。
千葉県なら、農林水産部環境農業推進課(043-223-2888)です(千葉県「ナガエツルノゲイトウ対策」)。
駆除の活動には、国の多面的機能支払交付金なども使えます(農研機構「ナガエツルノゲイトウ(特定外来生物)の侵入・定着を防ぎましょう」)。
市町村の窓口にも聞いてみてくださいね。
まとめ
まずは、ナガエツルノゲイトウとは何か、印旛沼で何が起きているのか、特徴と見分け方のおさらいです。
ナガエツルノゲイトウとは、南米生まれの水辺の草で、国の特定外来生物です。
印旛沼のナガエツルノゲイトウは、台風で堤防がこわれたあと、まわりの田んぼなどで見つかっています。千葉県では北部と君津地域に特に多く広がっています。
ナガエツルノゲイトウの特徴は、数センチの茎のかけらからも根を出す、ゾンビのような再生の力です。
ナガエツルノゲイトウの見分け方は、空洞の茎、向かい合う葉、白い丸い花と、葉のつけねからのびる長い花の柄です。
次に、ナガエツルノゲイトウの駆除方法と、見つけたときにやることです。
ナガエツルノゲイトウを見つけたら、まず写真を撮って、市町村などに知らせます。千葉県ならアプリでも投稿できます。
ナガエツルノゲイトウを持ち帰るのは法律違反で、育てると個人は1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、外に植えたりすると3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金です。
ナガエツルノゲイトウの駆除方法は、刈るだけではかえって広がるので早めに取りのぞき、ゴミ袋に入れて燃やして処分することです。
田んぼのナガエツルノゲイトウ対策は、水口の網と農機の洗浄、それでも生えたら除草剤です。
川辺で白い丸い花を見かけたら、まずスマホで1枚、撮ってみてくださいね。


