「ペットボトルの飲み物で認知症になるって、本当?」
答えから言うと、ペットボトル飲料が認知症の原因になる、とわかったわけではありません。
話題のもとは、亡くなった人の脳から小さなプラスチックが見つかった、2025年の研究です。
認知症の人の脳のほうが多かったのですが、それが原因なのかは、わかっていません。
しかも、この研究には疑問も出ています。
ドイツの国の機関などが、測り方に弱いところがあると言っているのです(国立医薬品食品衛生研究所)。
とはいえ、毎日ペットボトルを飲んでいると、やっぱり気になりますよね。
この記事では、研究で本当にわかったことと、今日からできる減らし方をまとめました。
「水道水なら少ない?」「沸かせば減る?」「ガラスびんなら安心?」にも、研究の数字で答えます。
この記事のポイントは以下の4点です。
- ペットボトル飲料が認知症の原因、とはわかっていない
- 脳の研究は「認知症の人の脳に多かった」まで。測り方に疑問も出ている
- アメリカのペットボトルの水3銘柄で、1リットルに平均約24万個の粒、という研究がある
- 沸かすと硬い水では約90%減る。軟水では約25%。ガラスびんの飲み物が多かった研究も
ペットボトル飲料で認知症は本当?マイクロプラスチックが脳にたまる研究
- ペットボトル飲料で認知症になる?答えは「まだわからない」
- マイクロプラスチックが脳にたまる?2025年の研究の中身
- マイクロプラスチックと認知症の関係は?「多かった」と「原因」はちがう
- マイクロプラスチックの脳の研究に疑問の声 ドイツの国の機関の見方
- ペットボトルの水にナノプラスチックは何個?1リットルに24万個の粒、9割がナノ
ペットボトル飲料で認知症になる?答えは「まだわからない」

10月30日、「認知症を引き起こす『ペットボトル飲料』のリスク」という記事が出ました(東洋経済オンライン)。
題を見ると、ドキッとしますよね。
でも、記事の本文を読むと、書いてあることは少しちがいます。
認知症の人の脳にプラスチックが多かったのは「関連」を示しただけ、と書かれています。
プラスチックが認知症を起こすのか。
それとも、認知症になった脳がプラスチックをため込みやすいのか。
どちらなのかは、今の時点ではわからない、とも書いてあります(東洋経済オンライン)。
つまり、「ペットボトルを飲むと認知症になる」と言える研究は、まだありません。
ただし、ペットボトルの水に小さなプラスチックが入っている、という研究はあります。
これは、あとで数字といっしょに紹介しますね。
マイクロプラスチックが脳にたまる?2025年の研究の中身

もとになったのは、アメリカのニューメキシコ大学などのチームの研究です。
2025年に、医学の雑誌「ネイチャー・メディシン」に出ました(Nature Medicine)。
マイクロプラスチックは、5ミリより小さいプラスチックの粒のことです。
「マイクロプラスティック」と書くこともありますが、同じものです。
その中でも、1マイクロメートル(1ミリの1000分の1)より小さい粒は、ナノプラスチックと呼ばれます(コロンビア大学)。
研究でわかったことを、表にまとめました。
| 調べたこと | 結果 |
|---|---|
| 調べたもの | 2016年と2024年に亡くなった人の肝臓、腎臓、脳(おでこ側の部分) |
| 多かった場所 | 脳は、肝臓や腎臓より多かった |
| プラスチックの種類 | おもにポリエチレン(レジ袋などに使われる) |
| 年による差 | 2016年より2024年のほうが多かった(肝臓と脳) |
| 年齢や性別 | 年齢、性別、亡くなった原因とは関係がなかった |
| 認知症の人 | 認知症と診断された12人の脳では、さらに多かった |
(出典:Nature Medicine)
脳の中で見つかった粒は、ほとんどがナノサイズのとがった破片のような形でした。
認知症の12人の内訳は、アルツハイマー型が6人、血管性が3人、そのほかが3人です(Nature Medicine)。
マイクロプラスチックと認知症の関係は?「多かった」と「原因」はちがう

ここで大事なのは、「多かった」と「原因だった」は、別の話ということです。
この研究は、プラスチックと認知症の因果関係までは言っていません(国立医薬品食品衛生研究所)。
たとえば、こんな見方もできます。
認知症になった脳のほうが、プラスチックをため込みやすいのかもしれません。
こうなると、プラスチックが原因ではなく、結果ということになります。
ドイツの国の機関も、認知症になったせいでたまった、という見方も同じくらいありうると見ています(国立医薬品食品衛生研究所)。
それに、調べた認知症の人は12人です。
12人の結果で「認知症になる」とまでは言えない、と考えておくのがよさそうです。
マイクロプラスチックの脳の研究に疑問の声 ドイツの国の機関の見方

じつは、この研究には疑問の声も出ています。
論文のページには、「人の脳のマイクロプラスチックを調べるむずかしさ」を指摘する、別の研究者の意見が付いています。
それに対する著者の返事も、いっしょに載っています(Nature Medicine)。
ドイツの連邦リスク評価研究所(BfR)も、2025年12月にこの研究を評価しました。
日本の国立医薬品食品衛生研究所が、その中身を日本語で紹介しています。
| BfRの見方 | 中身 |
|---|---|
| よいところ | 話題性と新しさは注目に値する。脳で見つかった最初の証拠にはなる |
| 弱いところ | 試料の準備、測り方、データの読み取りに弱点がある |
| 量について | 測った量はありえないほど多い。多く見積もった可能性も否定できない |
| 健康への影響 | 食べ物からのマイクロプラスチックで健康に害がある、という信頼できる根拠は今のところない |
(出典:国立医薬品食品衛生研究所)
つまり、脳にどれくらいあるのか、という数字そのものが、まだ確かではないということです。
体の中のプラスチックを正しく測る方法は、まだ育っている途中だそうです。
ペットボトルの水にナノプラスチックは何個?1リットルに24万個の粒、9割がナノ
では、ペットボトルの中身はどうなのでしょうか。
2024年に、アメリカのコロンビア大学などのチームが、ペットボトルの水を調べました。
アメリカで売られている3つの銘柄の水です(銘柄の名前は伏せられています)。
| 調べたこと | 結果 |
|---|---|
| 1リットルの粒の数 | 平均で約24万個(11万〜37万個) |
| そのうちナノプラスチック | 90% |
| 前の見積もりとくらべると | 10〜100倍 |
(出典:コロンビア大学)
24万個と聞くと、びっくりしますよね。
これまでの調べ方では、ナノサイズの小さな粒が数えきれていなかったからです。
ナノプラスチックは、とても小さい粒です。
そのため、腸や肺から血液に入り、心臓や脳まで届くことがあるそうです(コロンビア大学)。
ただし、それで体に害があるのかは、まだわかっていません。
飲み水のマイクロプラスチックについて、WHOは2019年に「今わかっている量では、健康へのリスクはないようだ」としています。
同時に、「情報がかぎられているので、もっと調べる必要がある」とも言っています(WHO)。
ペットボトルのマイクロプラスチックを減らす方法 水道水と煮沸の効き目
- ペットボトルのマイクロプラスチックを減らすには?増えるのはこんなとき
- マイクロプラスチックは水道水なら少ない?
- マイクロプラスチックは煮沸で減る?軟水では約25%
- ガラスびんならマイクロプラスチックはゼロ?意外な結果
ペットボトルのマイクロプラスチックを減らすには?増えるのはこんなとき

害があるとわかったわけではありません。
それでも、減らせるなら減らしたい、という人も多いですよね。
まず、ペットボトルから粒が出やすいのは、こんなときです。
| こんなとき | わけ |
|---|---|
| ボトルをギュッと押したとき | ボトルの素材(PET)がはがれ落ちる |
| 熱いところに置いたとき | 熱でボトルの素材がはがれやすくなる |
| ふたを何度も開け閉めしたとき | 開け閉めすると粒が水に入る、という研究がある |
(出典:コロンビア大学)
夏の車の中に置きっぱなしにしない、ボトルを強く押さない。
このあたりは、今日からすぐにできますね。
おもしろいのは、ペットボトルの素材のPETより多かった粒があることです。
それは、ナイロンの仲間(ポリアミド)でした。
水をボトルに詰める前に、きれいにするために使うフィルターから出たのではないか、と考えられています(コロンビア大学)。
マイクロプラスチックは水道水なら少ない?
水道水にもマイクロプラスチックはありますが、ペットボトルの水よりずっと少ない、という研究が出ています(コロンビア大学)。
なので、気になる人は、家では水道水を飲むのもひとつの手です。
ペットボトルの水を、毎日何本も買っている人もいますよね。
それなら、マイボトルに水道水を入れて持ち歩く、という方法もあります。
ただし、これはアメリカで紹介された研究の話です。
日本の水道水とペットボトルの水を、同じ方法でくらべた数字は、今回見つけられませんでした。
マイクロプラスチックは煮沸で減る?軟水では約25%

「水道水を沸かすと、マイクロプラスチックが90%減る」という話を聞いたことはありませんか。
これは、2024年に中国・広州の研究チームが出した研究です。
水道水に小さなプラスチックを入れて5分沸かし、コーヒーのフィルターでこしてみました(Medical News Today)。
沸かすと、水の中のカルシウムが白い結晶になり、プラスチックの粒を包みこみます。
それをフィルターでこすと、粒がいっしょに取れるというしくみです。
ところが、減り方は水の硬さで大きくちがいました。
| 水の種類 | 硬度(1リットルあたり) | 減った割合 |
|---|---|---|
| 硬い水 | 300mg | 約90% |
| 軟水 | 60mgより少ない | 約25% |
(出典:Medical News Today)
日本の水道水には、軟水のところもあります。
たとえば福岡市の水道水は、硬度が41mgの軟水です(福岡市水道局)。
こうした軟水だと、沸かしても90%は減らず、約25%くらいと考えたほうがよさそうです。
それでも、沸かしてからフィルターでこすと、少しは減らせます。
お茶やコーヒーをいれるついでに、ためしてみてもいいですね。
ガラスびんならマイクロプラスチックはゼロ?意外な結果

「じゃあ、ガラスびんの飲み物なら安心でしょ?」と思いますよね。
ところが、フランスの国の機関(ANSES)が2025年に調べたところ、逆の結果が出ました。
多くの飲み物で、ガラスびんのほうがペットボトルや缶よりマイクロプラスチックが多かったのです(ANSES)。
| 飲み物 | ガラスびん | ペットボトルなど |
|---|---|---|
| コーラ、レモネード、アイスティー、ビール | 1リットルに平均約100個 | ガラスびんの5〜50分の1(ペットボトルと缶) |
| 水 | 1リットルに4.5個 | 1リットルに1.6個(ペットボトルと紙パック) |
(出典:ANSES)
犯人は、ガラスではなく金属のふたの塗料でした。
保管しているあいだに、ふたどうしがこすれて、目に見えない傷ができます。
そこからはがれた塗料が、飲み物に入っていたと考えられています。
研究室でふたに空気を吹きつけてから栓をすると、1リットルあたり287個が106個に減ったそうです。
ただし、コロンビア大学の研究とは数え方がちがいます。
なので、24万個とはくらべられません。
ANSESも、健康にリスクがある量なのかは言えないとしています(ANSES)。
まとめ
ペットボトル飲料で認知症は本当?マイクロプラスチックが脳にたまる研究、をおさらいします。
ペットボトル飲料で認知症になる?答えは「まだわからない」。原因だとわかった研究はありません。
マイクロプラスチックが脳にたまる?2025年の研究の中身は、脳が肝臓や腎臓より多く、2016年より2024年が多かった、というものです。
マイクロプラスチックと認知症の関係は?「多かった」と「原因」はちがう。認知症の人の脳に多かったのは、関連を示しただけです。
マイクロプラスチックの脳の研究に疑問の声 ドイツの国の機関の見方では、測り方に弱点があり、量を多く見積もった可能性もあるとされています。
ペットボトルの水にナノプラスチックは何個?1リットルに24万個の粒、9割がナノ。アメリカの3銘柄を調べた研究です。害があるかはまだわかりません。
後半は、ペットボトルのマイクロプラスチックを減らす方法 水道水と煮沸の効き目、です。
ペットボトルのマイクロプラスチックを減らすには?増えるのはこんなとき。押す、熱いところに置く、ふたの開け閉めです。
マイクロプラスチックは水道水なら少ない?アメリカの研究では、ペットボトルの水よりずっと少ないとされています。
マイクロプラスチックは煮沸で減る?軟水では約25%。90%減るのは硬い水の場合です。
ガラスびんならマイクロプラスチックはゼロ?意外な結果で、ふたの塗料のせいでガラスびんのほうが多い飲み物もありました。
こわがりすぎず、熱いところに置かない、強く押さない、といったできることから始めてみてくださいね。

