ラベルレスボトルとは,通常のペットボトルとはちがって,ラベルの表示が義務付けられている法定表示をダンボールやケースに記載することでラベルを付けなくても売ることができる飲料製品です。
2020年頃から販売が始まったものです。ネット通販などでペットボトル飲料を箱買いすることを想定して販売されているものです。
ラベルレスボトルのメリットは,ラベルをなくすことでラベル用のプラスチックごみが削減されること,ラベル代の分の値段が安くなること,シール剥がしの手間が減ることが挙げられます。
ラベルレスボトルのデメリットは,箱買いが基本でバラ売りができないことや,譲渡すると法律違反になることなどがあげられます。
以下詳しく説明します。
ラベルレスボトルのメリット
プラスチックごみの削減
ラベルレスボトルには,法律で定められた成分表示やリサイクルの仕方を示すシールが必要ありません。
このシールはプラスチックで作られています。
プラスチックは自然に分解されず,放置しておくと最終的には海洋ゴミになり,マイクロプラスチックとなって海洋汚染を引き起こすことになります。
また,燃やすと,二酸化炭素を放出することになります。
プラスチックは作るときにも二酸化炭素を放出しますので,プラスチックがあるだけで二重に二酸化炭素を放出してしまうことになります。
プラスチックのラベルを付けないことは,以上のような環境へのダメージを減らすことになります。
なお,アサヒのラベルレスボトルでは,年間20トンのプラスチックゴミの削減になるそうです。
シール剥がしの手間がへり,ごみの分別が楽になること
シールを剥がさないでいいというのは,とても嬉しいことです。
ペットボトルをリサイクルに出す時,1本なら大したことはありませんが,10本となると,その分別の」手間がはなりのもの。
開発者自身が,ラベルを剥がしている時に,ラベルさえなければ・・・という発想からラベルレスボトルを開発するきっかけになったそうです。
ラベルレスボトルは,飲み終わったらさっとリサイクルボックスに入れるだけ。
ほんのちょっとの手間ですが,あるのとないのとでは感じ方が全く違いますよね。
ラベルの分の価格が安くなる
販売開始された2020年ごろには,ラベルがないことによる価格はある場合に比べて安くなっていくだろうと期待されていました。
しかし,2023年現在では,ラベルありもラベルなしも,基本的に同価格で販売されています。
この点,メリットと考えられていたため,期待が外れて残念でした。
ラベルレスボトルのデメリット
バラ売りできない 箱買いが基本
ラベルレスでは,食品表示法で定められている,原材料名などの表示をすることができません。
箱に一括して表示することにより,単品への表示をしかくてよいということになっているからです。
したがって,基本的には箱買いしかできず,コンビニなどでバラ売りすることができないということになっています。
しかし,ラベルを首掛け式にするなどの工夫により,コンビニでな単体販売への挑戦がはじまっていて,近い将来コンビニでラベルレスボトルを買うことができるようになるかもしれません。
中に何が入っているかわからず,人に譲渡することができない
ラベルレスボトルは,食品表示法に定められている原材料名などの一括表示を箱にすることで単品への表示を免れているものです。
だから,箱がその場にある人だけがラベルレスボトルの飲料を飲むことができます。
したがって,単体で売ることはもちろん,同じ理由で人に譲渡することはできません。
人からラベルレスボトルをもらった時,もらった人はその中に何が入っているのか確認できませんし,アレルギーが有る人は,成分を確かめることができませんからね。
ですから,例えば,町内会の一斉掃除などで,まとめて箱買いしておき,掃除が終わったあと「お疲れさまでしたー」と言ってそれを配布することはできないんです。
ラベルレスボトルは,家庭内のみでの使用になるのが現実的です。
そもそもラベルレスボトルが販売される理由は?
ラベルレスボトルには大きなメリットがありますが,そもそもなぜ今ごろになって販売され始めるようになったのでしょうか。
ラベルはがしが面相だということは最初から言われていることなのに,どうして近ごろまでずっとラベルが貼られていたのでしょうか。
それは,2020年4月1日から「資源有効利用促進法」が一部改正されて,外箱の一括表示により単品への表示をしないですむようになったからです。
それまでは,単品にリサイクルの仕方の表示や,成分表示をしなくてはならなかったので,長いことラベルが貼られていたんです。
ラベルレスボトルで売られている飲料とは
ラベルレスボトルで売られているものには以下のものがあります。
ミネラルウォーター
「い・ろ・は・す 天然水 ラベルレス」(560mlPET)
緑茶
「アサヒ緑茶」ラベルレスボトル
「おいしい水 天然水 ラベルレスボトル」(600mlPET・2LPET)
その他
単品販売への挑戦
「伊右衛門ラベルレス」
これは,成分表示を首掛け式のタグにすることで,単品販売ができるようになっています。
したがってコンビニで売られています。
今後,このようなラベルレスボトルが販売されることが多くなるのではないでしょうか。
日本初の,小びんによるラベルレスボトル
2021年7月26日,オロナミンCが初となる小瓶でのラベルレス販売を始めました。
「オロナミンCドリンク ラベルレスボトル」の商品名で,30本の箱買いでのみ買うことができます。
まとめ
以上,ラベルレスボトルのメリット・デメリットについてお話しました。
ラベルレスボトルのメリット
- プラスチックごみが削減されること
- ラベル代の分の値段が安くなること
- シール剥がしの手間が減ること
ラベルレスボトルのデメリット
- 箱買いが基本でバラ売りができないこと
- 譲渡すると法律違反になること
人に譲渡すると法律違反というところがびっくりでしたが,なるほど,腑に落ちるはなしでしたね。