化石賞は、国連の気候の会議(COP)の間、ほぼ毎日発表される「不名誉な賞」です。
日本は、2019年のCOP25から2025年のCOP30まで、毎回名前が挙がっています(ELEMINIST、CAN)。
「また日本?なんで日本ばかりなの?」
「そもそも誰が決めているの?」
ニュースを見て、そう思った人も多いのではないでしょうか。
実は、COP26で化石賞をいちばん多くもらったのは、日本ではありません。
この記事では、主催する団体の発表をもとに、歴代の受賞国と日本が受賞した年と理由を表にしました。
中国がもらわない理由や、もらうとどうなるのか、次の発表がいつかもまとめています。
2026年11月9日からは、トルコでCOP31が始まります。
その前に読んでおくと、ニュースの「日本がまた化石賞」がよくわかるようになりますよ。
この記事のポイントは以下の4点です。
- 化石賞は、世界の環境NGOの集まり「CAN」のメンバーが投票で決める
- 日本はCOP25からCOP30まで毎回名前が挙がり、COP29はG7の一員として受賞
- COP26でいちばん多くもらったのはオーストラリアの6回。日本は1回だった
- 次は2026年11月9日〜20日のCOP31(トルコのアンタルヤ)で発表される
化石賞の歴代受賞国は?日本の受賞の年と理由
- 化石賞とは?誰が決める?CANのメンバーの投票
- 化石賞の歴代受賞国一覧|COP29とCOP30
- 日本の化石賞は何回?何年に受賞した?
- COP30で日本が化石賞をもらった3つの理由
化石賞とは?誰が決める?CANのメンバーの投票

化石賞は、英語で「Fossil of the Day(本日の化石)」といいます。
気候の交渉の前進を、いちばん邪魔したと見られた国に贈られます。
決めているのは、CAN(気候行動ネットワーク)という環境NGOの集まりです。
CANが候補を挙げ、CANのメンバーの投票で受賞する国が決まります(CAN)。
国連が出している賞ではありません。
始まりは1999年です。
ドイツのボンで開かれた気候の会議で、ドイツのNGOの集まりが始めました(CAN)。
取り組みが後ろ向きな国を「化石」と呼んだ、皮肉の賞です(ELEMINIST)。
授賞式は、会議の間、毎日夕方に会場で開かれます。
COP30では、毎日18時に授賞式がありました(CAN)。
反対に、よい取り組みをした国には「Ray of the Day(本日の光)」が贈られます。
化石賞の歴代受賞国一覧|COP29とCOP30

ここ2回の会議で化石賞をもらった国を並べると、こうなります。
| 会議 | 化石賞をもらった国 | 会議の最後の「大化石賞」 |
|---|---|---|
| COP30(2025年11月、ブラジルのベレン) | イギリス、日本、アメリカ、インドネシア、ニュージーランド、カナダ、EU、ロシア | サウジアラビアとEU |
| COP29(2024年11月、アゼルバイジャンのバクー) | G7(日本をふくむ7か国)、イタリア、韓国、ロシア、EU、アメリカ、アゼルバイジャン | お金を出す義務のある先進国(日本をふくむ) |
(CAN(COP30)、CAN(化石賞の発表の一覧)、CAN(COP29の最終日)をもとに作成)
上の写真は、COP29で最初の化石賞をG7がもらったときのものです。
G7は、アメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、イギリスの7か国です。
途上国を助けるお金をいくら出すか、数字を持たずに会議に来たことが理由でした(CAN)。
アメリカは、COP30では会議に来ていないのに受賞しています。
2回とも名前があるのは、日本のほか、アメリカ、ロシア、EUなどです。
日本の化石賞は何回?何年に受賞した?

日本は、COP25からCOP30まで、6回の会議すべてで名前が挙がっています。
COP25では2回、COP28では3回です。
年と理由を、表にしました。
| 会議 | 受賞した日 | 主な理由 |
|---|---|---|
| COP25(2019年、スペインのマドリード) | 12月3日など2回 | 経済産業大臣が、石炭を使い続けると話した |
| COP26(2021年、イギリスのグラスゴー) | 11月2日 | 首相が演説で、2030年より先も石炭火力を使う方針を示した |
| COP27(2022年、エジプトのシャルム・エル・シェイク) | 11月9日 | 石油・ガス・石炭に出す国のお金が世界でいちばん多い |
| COP28(2023年、UAEのドバイ) | 12月3日(2位)、12月5日(2位)、12月10日 | 水素やアンモニアを混ぜて燃やす火力を、よい対策のように見せている |
| COP29(2024年、アゼルバイジャンのバクー) | 11月15日(G7として) | 途上国を助けるお金をいくら出すか、数字を出さなかった |
| COP30(2025年、ブラジルのベレン) | 11月13日 | 下の3つの理由 |
(CAN(COP25)、気候ネットワーク、CAN(COP26)、CAN(COP27)、CAN(COP28)、ELEMINIST(COP28の12月10日)、CAN(COP29)、ClimateNewsJPのXの投稿(COP30の日付)をもとに作成)
こうして見ると、理由のほとんどが石炭などの化石燃料です。
COP28では、12月3日と5日に、どちらも2位で選ばれました。
新しい石炭火力は造らないと説明したのに、今ある170基以上の石炭火力をやめる予定がない、と言われたんです(CAN)。
12月10日の分は、COP28の一覧をまとめたELEMINISTの記事に載っています(ELEMINIST)。
COP30で日本が化石賞をもらった3つの理由

いちばん新しい受賞は、2025年11月13日のCOP30です(ClimateNewsJPのXの投稿)。
CANは、日本の理由を3つ挙げました(CAN)。
- 化石燃料を長く使う技術を「解決策」として売りこむ:二酸化炭素を地中にためる技術(CCS)や、水素・アンモニアを混ぜて燃やす火力
- 先住民の権利をおかす:オーストラリアの大きなガスの開発にお金を出している
- 石炭の仕事をしていた人の行き先の話し合いをじゃまする:「公正な移行」と呼ばれる議論に、後ろ向き
オーストラリアのガスには、2008年から日本と韓国で205億ドルが出されたそうです。
そのうち64%を、日本の国の機関が支えているとされました(CAN)。
輸出を支える保険などをあつかう機関です。
上の写真は、そのときの授賞式です。
恐竜の骨の着ぐるみが出てくるなど、お祭りのようなにぎやかな式なんです。
化石賞はなぜ日本ばかり?中国は?もらうとどうなる?
- 化石賞はなぜ日本ばかり?多いのはオーストラリアやアメリカ
- 化石賞はなぜ中国がもらわない?
- 化石賞をもらうとどうなる?罰はある?
- 化石賞は意味ない?くだらない?分かれる見方
- 次の化石賞はいつ?COP31は2026年11月9日から
化石賞はなぜ日本ばかり?多いのはオーストラリアやアメリカ

「日本ばかり」と感じるのは、日本でのニュースが多いから、という見方があります。
COP26の化石賞を数えた人がいます。
日本は11月2日の1回だけ。いちばん多かったのはオーストラリアの6回でした(国際環境経済研究所)。
| 国 | COP26で受賞した回数 |
|---|---|
| オーストラリア | 6回 |
| イギリス(開催国) | 4回 |
| アメリカ | 3回 |
| ニュージーランド | 3回 |
| 日本 | 1回 |
(国際環境経済研究所をもとに作成)
書いたのは、電力会社J-POWERの執行役員で、京都大学の特命教授でもある人です。
日本では、化石賞の検索のほうが、世界中の「Fossil of the day」の検索よりずっと多かったそうです。
受賞の多い国で、熱心に検索されているわけではないそうです(国際環境経済研究所)。
つまり、日本は毎回のように名前が挙がるうえに、ニュースでも大きく取り上げられます。
それで「日本ばかり」に見えやすいんですね。
化石賞はなぜ中国がもらわない?

「二酸化炭素をいちばん出している中国は?」と思う人も多いはずです。
2025年のCOP30の受賞国の一覧に、中国の名前はありません(CAN)。
これは、化石賞が出している量ではなく、会議での動きで選ばれるからです。
CANのメンバーは、交渉の前進をいちばん邪魔したと見た国に投票します(CAN)。
COP29の最後の大化石賞は、途上国にお金を出す義務のある先進国の国々でした。
この国々の中に、日本は入っていて、中国は入っていません(CAN)。
COP30では、途上国の集まりの「G77+中国」が、反対によい方の賞をもらっています(CAN)。
何をもとに選ぶ賞なのかを知っておくと、ニュースの見え方が変わります。
化石賞をもらうとどうなる?罰はある?

化石賞は、国連ではなく、NGOの集まりのCANが出している賞です(CAN)。
国連の会議の決まりとは関係がなく、罰金などがあるとは、CANも書いていません。
では、何が起きるのでしょうか。
- 会場で:授賞式で、賞状とトロフィーが出される(上の写真)
- ネットで:CANのサイトとXに、受賞の理由が載る
- 日本の中で:新聞やテレビのニュースになる
COP25で、日本は化石賞を2度もらいました。
会場の前では、日本への抗議が何度も行われたそうです(気候ネットワーク)。
罰金のような決まりは見当たりませんが、国の評判には関わる賞なんですね。
化石賞は意味ない?くだらない?分かれる見方

化石賞には、意味がないという声もあります。
見方は大きく2つに分かれます。
| 見方 | 言っていること |
|---|---|
| 意味がある | 日本は脱石炭の時期と方法を示していない。宿題に取りかかるべき(気候ネットワーク) |
| 大げさに受け止めすぎ | 日本で騒がれるのは報道が多いから。ほかの国の受賞や理由も伝えるべき(国際環境経済研究所に載った寄稿) |
この寄稿は、CCSを使う計画や原子力を入れる案まで受賞の理由にされた、再エネ以外を認めないのはおかしい、とも書いています(国際環境経済研究所)。
ニュースの見出しだけでなく、受賞の理由まで見ておくと、自分で判断しやすくなります。
次の化石賞はいつ?COP31は2026年11月9日から

次の化石賞は、2026年11月9日〜20日のCOP31で発表されます。
場所はトルコのアンタルヤです(国連気候変動枠組条約)。
議長はトルコのムラト・クルム氏で、交渉の議長はオーストラリアのクリス・ボーエン氏がつとめます(国連気候変動枠組条約)。
受賞の国と理由は、次の順で確かめられます。
- 1. CANのサイトを見る:「Fossil of the Day」のページに、その日の受賞国と理由が載る
- 2. CANのXを見る:授賞式の写真が投稿される
- 3. 日本語で読む:気候ネットワークのサイトに、会議の様子が日本語で載る
会議は11月20日までなので、日本が選ばれたかどうかは、そのあいだにわかります。
そのときは、ぜひ理由まで読んでみてください。
まとめ
まずは「化石賞の歴代受賞国は?日本の受賞の年と理由」のおさらいです。
「化石賞とは?誰が決める?CANのメンバーの投票」は、環境NGOの集まりCANのメンバーが、交渉をいちばん邪魔した国に投票して決めます。
「化石賞の歴代受賞国一覧|COP29とCOP30」は、2回とも日本、アメリカ、ロシア、EUなどの名前があります。
「日本の化石賞は何回?何年に受賞した?」は、COP25からCOP30まで毎回名前が挙がり、理由のほとんどは石炭などの化石燃料です。
「COP30で日本が化石賞をもらった3つの理由」は、化石燃料を長く使う技術の売りこみ、オーストラリアのガス開発、石炭の仕事をしていた人の行き先の話し合いへの後ろ向きな姿勢です。
次に「化石賞はなぜ日本ばかり?中国は?もらうとどうなる?」です。
「化石賞はなぜ日本ばかり?多いのはオーストラリアやアメリカ」は、COP26ではオーストラリアが6回で、日本は1回。日本で報道が多いのが大きいようです。
「化石賞はなぜ中国がもらわない?」は、出している量ではなく、会議での動きで選ぶ賞だからです。COP30の一覧に中国の名前はありません。
「化石賞をもらうとどうなる?罰はある?」は、国連ではなくNGOの賞で、罰金などは書かれていません。国の評判には関わります。
「化石賞は意味ない?くだらない?分かれる見方」は、意味があるという見方と、騒ぎすぎという見方があります。
「次の化石賞はいつ?COP31は2026年11月9日から」は、トルコのアンタルヤで11月20日まで開かれます。
化石賞は、ニュースの見出しより、受賞の理由を読むといちばんよくわかる賞なんです。


