夏に繋がる感覚の風鈴。
しかし、飾り方によっては、周囲に迷惑をかけることも?
音が不快に感じることはあるのか、疑問点はありますよね。
この記事では、マンションやアパートでの風鈴の飾り方というポイントでお話しします。
風鈴の音と、周りの人々への思いやり
夏の歩きながら聞こえてくる風鈴の音は安らぎを与えますが、皆が同じように受け取るわけではないですよね。
風鈴の音が心地よく感じるかは人によります。
せっかくの風鈴の音が「騒音」にならないように、どう気を使うかを思案しましょう。
正しく保管
「屋外に掛ける時は夜には中に入れる」「風の強い日には中に保管」のような考えが求められます。
このアプローチもマナーと言えますね。
入口での配置
玄関に掛けると、訪問者が訪れたり、ドアを動かす際にだけ音がします。
あまり来客の少ない場所なら、騒音のリスクは低めです。
卓上の風鈴
風情は少し異なりますが、卓上風鈴も一つの選択です。
屋内専用となるので、騒音の問題はほぼないでしょう。
特にアパートにお住まいの方には最適です。
マナーを考えた上での、マンション等での風鈴の飾り方
風鈴を思い起こすと、明るい日光が射す家の南面(縁下)を連想する方も少なくないでしょう。
南西の位置は「裏鬼門」とも呼ばれ、好ましくない方角とされていたのです。
古い時代の風鈴は、邪気を払うために使われ、縁起が悪い場所に設置されていました。
その後、風鈴の美しい音を愛する習慣が広がり、縁下でのんびりしながら風鈴の響きを楽しむ光景が浸透したと考えられます。
そんな風鈴を展示するときのテクニックとして、カーテンのレールにSフックを活用して掛けるのが手軽です。
さらに、テーブル上の風鈴に関しては、前述の通りとなります。
風鈴の音色がどうして安らぎをもたらすのか
風鈴の音には、心を穏やかにする「1/fの振動」が入っています。
自然界の1/fの振動を持つ音を耳にすると、脳はα波のモードに移行し、心と体がリラックスする効果があると言われています。
「1/fの振動」とは、一定性と変化が絶妙に調和して揺れ動く現象を意味します。
例として、海の波の音や木漏れ日の下での川のせせらぎなどが挙げられます。
興味深いことに、美空ひばりや宇多田ヒカルの歌声も、この特徴を有していると言われています。
風鈴の響きは心を安定させる力があり、ストレスを緩和するとも指摘されています。
心が温まるのですね!
風鈴がどのようにして誕生し、どう重視されてきたのか
風鈴の起源はどこにあるのでしょうか。
「ちりんちりん」という響きが夏の空気を満たすと、多くの人が「あれは風鈴の音だ」と認識するでしょう。しかし、もともと風鈴は占い道具として用いられていました。
古くは「風鐸(ふうたく)」と呼ばれる青銅の鐘が起源とされています。
中国の唐の時代、風鐸は竹の枝に四方、東西南北を向いて吊るされ、風の方向や音の性質を元に運命を占っていました。
仏教が遣唐使によって日本に伝わる中、風鐸も同時に紹介されることとなりました。
このアイテムは日本で、邪気を払うものとして受け入れられました。
古い時代、強風は病気や邪気の元とされ、風鐸の響きは清める力を持っているとされていました。
やがて、江戸の頃、青銅製の風鈴は西洋のガラス技術の影響を受けてガラス製となり、現代に繋がる風鈴へと変わっていきました。
それでは、なぜ風鈴が夏の象徴として受け入れられたのかを探ると…
風鈴と夏のつながり
江戸の時代が始まると、風鈴は多くの家で親しまれるようになりました。
当時、鈴虫の綺麗な音を楽しむ文化があり、風鈴はこの風習を補完するアイテムとして人々の間で流行りました。
民間伝承によれば、鈴虫が鳴く前の早夏に風鈴を吊るし、鈴虫の季節が訪れると取り外していたとのこと。
この流れから、風鈴が夏の代名詞として広まったのでした。
風鈴のお祭り
夏といえば、まずは祭りの季節ですね。
風鈴を中心に据えた祭りも少なくありません。
西新井大師での風鈴祭り
このイベントは、東部大師線の大师前駅にて催されます。
川崎大師の風鈴市
こちらの会場では、日本全国47の都道府県から驚異の900種類、30,000点以上の風鈴が並べられます。
おふさ観音での風鈴祭り
奈良の橿原市(かしはらし)にある「おふさ観音」は、風鈴と薔薇で知られています。
夏の間、約2ヶ月、ここで「風鈴の祭り」が開催され、夏の情緒を味わえます。
風鈴紹介
今話題の風鈴をいくつかピックアップし、ご案内いたします。
江戸風鈴
この名前で親しまれています。
昔は青銅製の風鈴だったものが、江戸期にはガラス製へと変わりました。「江戸風鈴」の名付け親は、「篠原まるよし風鈴」の設立者、篠原儀治氏です。
約1965年からこの名称で市場に出てきました。
金型なしでガラスを形成する独特の方法で、一つ一つ手作業で造られるため、完全に同じものは作れません。
そのため、微細に違う音色が魅力となります。
南部風鈴
「南部鉄器」の岩手県が発祥の地で、伝統を受け継ぐ鉄製の風鈴です。
この風鈴の音は、ガラス製とは違う、「リーン」という深みのある鳴り声が魅力。
ちなみに、「残したい日本の音百選」にも選出されています。
この南部風鈴の音の周波数は3,000ヘルツで、鳥の鳴き声やせせらぎと同じで、心を落ち着かせる効果があります。
小田原風鈴
多くの評価を受ける風鈴の一つです。
制作可能な職人は少なく、とても希少です。
使用されているのは、銅と錫の合金、砂張。この砂張を加工し、鋳型、色を付けるなど、専門的なスキルが必要です。
砂張は壊れやすいので、扱いに注意が必要です。
別府竹風鈴
全体が竹製ではありませんが、南部風鈴を竹のケージで取り囲むスタイルです。
別府の伝統的な竹細工が取り込まれ、見た目も注目点。室内装飾としてもマッチします。
紀州備長炭風鈴
音の大きさが気になる方に、この風鈴が最適です。
紀州備長炭風鈴は独特の深みのある音が特徴で、音量も控えめ。玄関やその他のスペースでの展示に最適です。
まとめ
・設置の時、音量を気をつけること
・風鈴が持つ安らぎの効能は科学的根拠も
・風鈴を使用する際のマナーや注意事項
・元々、風鈴は悪気を遠ざける目的で使われていた
・風鈴に関連した祭事も存在する
・材料や製法により風鈴の個性は変わる
風鈴は夏の象徴と思われがちですが、実は風を寄せ付けないためのツールでした。
だから、冬の時期にも風鈴は適しています。
夏には、風鈴の音に加えて、虫の鳴き声も楽しむのは素敵です。
現代の暮らしにフィットする、インテリアとしての風鈴。その音色を堪能しながら、環境とのバランスをとることが重要です。