ざるそばに、日本酒をかけて食べる。
そんな食べ方があるって、知っていましたか?
「酒そば」と呼ばれ、小説にも出てくる食べ方なんです。
でも、いざ試そうと思うと迷いますよね。
どのくらいかけるの?つゆはどうするの?どんなお酒がいいの?
かけすぎて、むせてしまったという話もあるんです。
やり方は、むずかしくありません。
日本酒をそば全体に回しかけて、いつものつゆにつけて食べる。
これが、酒そばを出しているお店の食べ方です。
この記事では、家でできる手順と量の目安を、お店の食べ方をもとにまとめました。
かける・つゆに足す・そばの前に飲む、の3つの楽しみ方のちがいや、合うお酒、酒そばを出しているお店も表にしています。
酒そばが気になっていた人も、蕎麦屋でどう日本酒を頼めばいいか迷う人も、読んでみてください。
読み終わるころには、今夜のざるそばで試せるようになりますよ。
この記事のポイントは以下の4点です。
- 蕎麦に日本酒をかける食べ方は「酒そば」。かけたあと、いつものつゆにつけて食べる
- 家で試すなら、まずはお猪口1杯から。かけすぎるとおいしくない
- 合うのは淡麗辛口の純米酒。ざるそばなら冷酒
- 盛岡の老舗「直利庵」では、今も酒そばを出している
蕎麦に日本酒をかける食べ方とやり方
- 蕎麦に日本酒をかける「酒そば」とは?
- 蕎麦に日本酒をかけるやり方は?家でできる手順
- 蕎麦に日本酒をかける量は?かけすぎに注意
- 蕎麦に日本酒はつける?かける?3つの楽しみ方
- 蕎麦と日本酒は合わない?と言われるわけ
- 蕎麦にかけるならどんな日本酒?合う酒の選び方
蕎麦に日本酒をかける「酒そば」とは?

蕎麦に日本酒をかける食べ方は、「酒そば」と呼ばれています。
冷たいせいろやざるのそばに、日本酒を回しかけて食べるんです。
今も酒そばを出しているのが、盛岡の老舗「直利庵(ちょくりあん)」です。
直利庵は、江戸時代の嘉永3年以前に始まったと言われる、古いお店です(直利庵の想い)。
おしながきでは、酒そばは1,700円でした(直利庵 おしながき)。
直利庵によると、酒そばは小説『父子鷹』にも出てくる食べ方です。
『父子鷹』は、勝海舟の父と子のことを書いた小説です。
直利庵がお店で試してみたら、本当においしかった。
それで、人気のメニューになったそうです(直利庵の想い)。
酒そば専用の器で出しているのも、このお店の特徴です(直利庵の想い)。
直利庵は、おしながきで、酒のうまみがそばのおいしさを引き出すと書いています。
その相性を楽しむ食べ方なんですね(直利庵 おしながき)。
蕎麦に日本酒をかけるやり方は?家でできる手順

やり方は、お店の食べ方をまねすればかんたんです。
神戸の酒蔵のお店「さかばやし」は、2014年にこう案内していました。
お猪口に入ったお酒をそば全体にかけて、そばつゆをつけて食べる(神戸酒心館)。
家で試すなら、こんな順番です。
- 1. 冷たいざるそば(もりそば)を用意する。ざるやすのこにのせて、水気をよく切る
- 2. 日本酒をお猪口に1杯ほど注ぐ
- 3. そば全体に、まんべんなく回しかける
- 4. いつものように、そばつゆにつけて食べる
- 5. 下にたまったお酒は、最後に飲んだり、そば湯で割ったりする
つゆは、いつもどおり使ってOKです。
直利庵の酒そばも、日本酒をかけたそばを、めんつゆにつけて食べるやり方でした(ガジェット通信)。
下にたまったお酒も、楽しみの1つです。
直利庵は、器の中に落ちたお酒を最後に蕎麦湯割りにして飲むのも一興と書いています(直利庵 おしながき)。
蕎麦に日本酒をかける量は?かけすぎに注意

家で試すなら、まずはお猪口に1杯ほどから始めるのがおすすめです。
この目安は、さかばやしの出し方(2014年の案内)をもとにしています(神戸酒心館)。
ただ、お店によって量はちがいます。
盛岡の直利庵では、お酒がとっくりで出てきます。
食べた人は、その量が思ったよりしっかり多めだったと書いています。
そのまま飲んだら、ほろ酔いになりそうなくらいだったそうです(ガジェット通信)。
とはいえ、多ければいいわけではありません。
俳優の勝新太郎さんは、そばに日本酒をかけて食べることで知られていました。
その勝新太郎さんにも、こんな話があります。
日本酒をかけたそばをすすったら、むせてしまった。
そして「かけすぎたら、あんまり美味くねーんだぞ」と笑っていたそうです(東スポUMAデスクのXの投稿)。
最初は少なめにかけて、足りなければ足す。
これが失敗しないコツですね。
それと、かけた日本酒はそのまま口に入ります。
車を運転する日や、お酒に弱い人は控えてくださいね。
蕎麦に日本酒はつける?かける?3つの楽しみ方

そばをつけるのは、いつものそばつゆです。
日本酒は、そばにかけるか、つゆや出汁に足して飲むか、そばの前に飲むかのどれかで楽しみます。
| 楽しみ方 | やり方 | こんな人に |
|---|---|---|
| かける(酒そば) | そばに日本酒をかけ、つゆにつけて食べる | そばとお酒をいっしょに味わいたい人 |
| 出汁で割る(蕎麦出汁割り) | 日本酒と蕎麦の出汁を1:3で割って飲む | 日本酒を、ちがう味でも飲んでみたい人 |
| つゆに足す | そばを食べ終わったあと、そばつゆに日本酒を少し足して飲む | そばのあとに、もう少し飲みたい人 |
| そばの前に飲む(蕎麦前) | そばを頼む前に、日本酒とつまみを楽しむ | お店で、そばが来るまでの時間も楽しみたい人 |
日本酒を割って飲むなら、蕎麦出汁割りがおすすめです。
日本酒と蕎麦の出汁を1:3で割ると、旨味・甘味・酸味・苦味・塩味の5つの味がそろうそうです(沢の鶴)。
出汁割りに、天かすや生姜、わさびなどの薬味を足すと、味が変わるのも楽しいですよ(沢の鶴)。
京都のそば屋の有喜屋は、もっと手軽なやり方を紹介しています。
そばを食べ終わったあとに、残ったそばつゆに日本酒を少し足す飲み方です(有喜屋)。
蕎麦と日本酒は合わない?と言われるわけ

「蕎麦と日本酒は合わない」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
これは、味が合わないという意味ではないんです。
京都のそば店、隆兵そばは、こう書いています。
そばと酒は合わない、というのは、正しくは「そばを食べながら酒を飲むのは不粋」ということ。
そば屋で飲むお酒は格別だ、とも書いています(隆兵そば)。
理由は、そばがのびるからです。
そばは、のびないうちにささっと食べるのがマナーとされています。
そこで、お酒はそばが来るまでのあいだに、つまみで飲むものだというわけです(隆兵そば)。
つまり、お店の楽しみ方はこう分かれます。
- お酒をじっくり飲みたい人 → 先につまみで飲んで、しめにそばをさっと食べる
- そばとお酒をいっしょに味わいたい人 → 酒そばのように、そばにかけてしまう
酒そばなら、そばがのびる前に、お酒もそばも一度に味わえますね。
蕎麦にかけるならどんな日本酒?合う酒の選び方

蕎麦に合う日本酒は、淡麗辛口の純米酒がおすすめです。
蕎麦の風味をじゃましないからです(沢の鶴)。
有喜屋も、キレがよくて穏やかなタイプをすすめています(有喜屋)。
酒そばを食べた人も、甘すぎず、とがりすぎない、さらっとした日本酒が合うと書いていました(ガジェット通信)。
温度は、そばに合わせて選びます。
| そば | 合わせるお酒の温度 |
|---|---|
| ざるそば、もりそば | 冷酒(軽やかな冷たいお酒) |
| かけそば(温かいそば) | ぬる燗、お燗 |
(沢の鶴をもとに作成)
かけるなら、冷たいざるそばに冷酒がいちばん試しやすいですね。
上の写真のように、名代富士そばの公式アカウントも、もりそばに日本酒をかける食べ方を紹介していました。
特別な道具はいらないので、家のざるそばと冷蔵庫の日本酒で始められますよ。
蕎麦に日本酒をかけるのはなぜ?由来と酒そばの店
- 蕎麦に日本酒をかけるのはなぜ?おいしくなる理由
- 蕎麦屋に日本酒があるのはなぜ?江戸の「蕎麦前」
- 酒そばが食べられる店は?盛岡の直利庵と神戸のさかばやし
蕎麦に日本酒をかけるのはなぜ?おいしくなる理由

蕎麦に日本酒をかけるのは、お酒のうまみが、そばのおいしさを引き出すからです。
直利庵は、お酒のうまみがそばのおいしさを引き出す、と書いています(直利庵 おしながき)。
もう1つ、くっついたそばをほぐすという役目もあります。
時間がたってそばがくっついたら、お酒をかけてほぐして食べる。
直利庵は、それも粋な食べ方だと書いています(直利庵 おしながき)。
食べた人の感想を見ると、日本酒の香りが、ほのかに感じられるそうです(ガジェット通信)。
変わった食べ方に見えるかもしれません。
でも、直利庵が酒そばを出すのは、試してみて、本当においしかったからです(直利庵の想い)。
蕎麦屋に日本酒があるのはなぜ?江戸の「蕎麦前」

そもそも、蕎麦屋にはたいてい日本酒がありますよね。
それは、江戸時代の「蕎麦前(そばまえ)」という習慣が始まりです。
蕎麦前とは、そばの前にお酒を軽く楽しむことです。
つまみでお酒を1〜2本飲み、最後にそばをさっと食べてしめるのが、江戸っ子流だったそうです(有喜屋)。
始まりは、そば屋の気づかいでした。
そばは、注文してから出てくるまでに時間がかかります。
そこで、待つあいだに楽しめるよう、つまみとお酒を出したんです(有喜屋)。
江戸の終わりごろの本『江戸自慢』には、「必ずそば屋には酒あり。しかも上酒なり」と書かれています(有喜屋)。
蕎麦前の定番のつまみは、こんなものです(沢の鶴)。
- 板わさ(かまぼこにわさび)
- 焼き海苔
- 蕎麦みそ
- だし巻き玉子
- 天ぷら、天ぬき(天ぷらそばのそば抜き)
そば屋は居酒屋ではないので、さっと飲んで長居しないのが粋とされています(沢の鶴)。
酒そばが食べられる店は?盛岡の直利庵と神戸のさかばやし

お店で酒そばを食べてみたい人のために、酒そばを出しているお店と、以前に出していたお店を表にしました。
| お店 | 場所 | 酒そばの値段 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 直利庵 | 岩手県盛岡市中ノ橋通1-12-13 | 1,700円 | 今もおしながきにある。酒そば専用の器。二段重ねのそばに、とっくりの酒、つゆと薬味がつく |
| 蔵の料亭 さかばやし(神戸酒心館) | 神戸市東灘区御影塚町1-8-17 | 1,028円(税別、2014年の案内) | 2014年の案内で出していたお店。酒蔵のお店で、お猪口の福寿をそばにかける |
(直利庵 おしながき、ガジェット通信、神戸酒心館をもとに作成)
直利庵で食べた人によると、そばの下の器に、かけたお酒がたまる作りになっています。
たまったお酒を、そのまま飲めるのが楽しいところです(ガジェット通信)。
直利庵の営業時間は、11時〜15時30分と17時〜21時です。
定休日は水曜日で、祝日なら営業します(直利庵 おしながき)。
さかばやしの値段は、2014年に出された案内のものです。
今のメニューや値段は、行く前にお店に確かめてくださいね。
酒そばにするそばを選ぶなら、香りのいい新そばの季節もおすすめです。
新そばのことは、新そばと普通のそばの違いとは?にまとめています。
まとめ
まずは「蕎麦に日本酒をかける食べ方とやり方」のおさらいです。
「蕎麦に日本酒をかける『酒そば』とは?」は、冷たいそばに日本酒を回しかけて食べる、小説にも出てくる食べ方でした。
「蕎麦に日本酒をかけるやり方は?家でできる手順」は、そば全体にお酒をかけて、いつもどおりつゆにつけて食べます。
「蕎麦に日本酒をかける量は?かけすぎに注意」は、家ならまずお猪口1杯ほどから、少なめに始めるのがコツです。
「蕎麦に日本酒はつける?かける?3つの楽しみ方」は、そばをつけるのはいつものつゆで、日本酒はかけるか、割って飲むか、そばの前に飲むかでした。
「蕎麦と日本酒は合わない?と言われるわけ」は、味の話ではなく、そばを食べながら飲むのは不粋、という作法の話でした。
「蕎麦にかけるならどんな日本酒?合う酒の選び方」は、淡麗辛口の純米酒で、ざるそばなら冷酒です。
次に「蕎麦に日本酒をかけるのはなぜ?由来と酒そばの店」です。
「蕎麦に日本酒をかけるのはなぜ?おいしくなる理由」は、お酒のうまみがそばのおいしさを引き出すからでした。
「蕎麦屋に日本酒があるのはなぜ?江戸の『蕎麦前』」は、江戸のそば屋の気づかいが始まりです。
そばを待つあいだに、お酒とつまみを出したんですね。
「酒そばが食べられる店は?盛岡の直利庵と神戸のさかばやし」は、今も出している直利庵と、2014年に出していたさかばやしを紹介しました。
蕎麦に日本酒をかけるのは、家でもすぐ試せる、粋な食べ方です。
まずはお猪口1杯から、今夜のざるそばで試してみてくださいね。

