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デジタル万引きとは?犯罪?金平氏の事例が再び問題提起する!

元TBSテレビ執行役員で現在も「報道特集」のキャスターを務める金平茂紀氏が自身の講演会で「『安倍晋三回顧録(中央公論新社)』を僕は買いたくないんで、本屋で立ち読みして、必要なところを写メした」と発言したことが話題になりました。

この発言は、書店やコンビニエンスストアなどの店頭で販売されている書籍や雑誌の内容をカメラやカメラ付き携帯電話などで撮影し、その書籍や雑誌を購入することなく情報を入手する行為を指す「デジタル万引き」と呼ばれる行為で差ないか?と騒がれています。

この記事では、デジタル万引きとは何か、法的にはどうなっているのか、そして社会的にはどう受け止められるべきかについて考えてみたいと思います。

デジタル万引きとは何か?

デジタル万引きという言葉は、2006年に日本雑誌協会が発表した「デジタル万引き対策ガイドライン」で初めて使われました。

このガイドラインでは、デジタル万引きを「店頭で販売されている書籍・雑誌等の内容をカメラ付携帯電話等で撮影し、その書籍・雑誌等を購入することなく情報を入手する行為」と定義しています。

そして、その防止策として店舗側や出版社側に対して様々な提言を行いました。

しかし、この言葉は本来の万引きとは異なり窃盗罪に該当する行為ではないため、表現が行き過ぎであると指摘を受けたことから、以後、日本雑誌協会はこの語の使用を自粛しているとのことです。

ひかし、今回,かなひら氏の言葉によって注目を集めることになりました。

デジタル万引きの実態は、書籍や雑誌だけでなく、CDやDVDなどの音楽や映像作品も対象となっています。

また、撮影した画像データを自分だけで楽しむだけでなく、インターネット上にアップロードしたり、友人や知人に送信したりするケースもあります。

これらの行為は、書店や出版社、著者の権利や利益を侵害するだけでなく、消費者の購買意欲や読書習慣にも悪影響を及ぼす可能性があります。

デジタル万引きについて、我々はどこまで許容すべきなのでしょうか?

法的にはどうなっているのか?

【デジタル万引き】窃盗罪には当たらないが、著作権法違反の可能性

デジタル万引きは、法的にどのように扱われるのでしょうか?

まず、窃盗罪について考えてみましょう。

窃盗罪は、「他人の動産を秘密裏に取得すること」(刑法235条)をいう犯罪です。

しかし、デジタル万引きでは物理的に他人の動産を持ち去ることはありません。

書籍や雑誌の内容を撮影することは、その物体の所有権や占有権を侵害することにはなりません。

したがって、デジタル万引きは窃盗罪には当たらないというのが一般的な見解です。

 

次に、著作権法違反について考えてみましょう。

著作権法とは、「著作物の作者に対して、その著作物に関する財産的及び人格的な権利を付与すること」(著作権法1条)をいう法律です。

著作権法では、著作物の作者に対して、その著作物の「複製」、「公衆送信」、「展示」、「頒布」などの権利が認められています(著作権法21条~28条)。

これらの権利を侵害する行為は、民事上の損害賠償責任や刑事上の罰則が科される可能性があります(著作権法113条~120条)。

では、デジタル万引きはこれらの権利を侵害する行為にあたるのでしょうか?

まず、「複製」について考えてみましょう。

「複製」とは、「著作物を他の物体に移すこと」(著作権法2条1項1号)をいう行為です。

デジタル万引きでは、書籍や雑誌の内容をカメラやカメラ付き携帯電話などで撮影し、その画像データをメモリーカードやクラウドサービスなどに保存することがあります。

これは、著作物を他の物体に移す行為と言えるでしょうか?

 

この点については、判例や学説では一致した見解がなく、賛否両論があります。

 

一方で、「自己の私的使用のために複製すること」は、原則として許容されています(著作権法30条)。

ただし、この場合でも、「自己以外の者が使用することを目的としている場合」や「公衆送信されたものを受信した場合」などは除外されます(同条)。

したがって、デジタル万引きで撮影した画像データを自分だけで楽しむ場合は問題ないかもしれませんが、他人に送信したりインターネット上にアップロードしたりする場合は違法となる可能性があります。

 

次に、「公衆送信」について考えてみましょう。

「公衆送信」とは、「電磁的記録方式その他人間の知覚によって直接知覚されることができない方法により音又は映像を送信すること」(著作権法2条1項3号)をいう行為です。

デジタル万引きでは、撮影した画像データをインターネット上にアップロードしたり、SNSやメールなどで不特定多数の人に送信したりすることがあります。

これは、音又は映像を送信する行為と言えるでしょう。

 

金平氏の行為はデジタル万引きなのか?

金平氏の行為はデジタル万引きと言えるのかというと、一概には答えられないと思います。

デジタル万引きという言葉は、法的な定義が明確ではなく、判例や学説でも見解が分かれています。

また、金平氏の発言は、実際に行ったことなのか、それとも冗談や皮肉なのか、真意が不明です。

 

もし、本当に書籍や雑誌の内容を撮影していたとしたら、その画像データをどう扱ったのかも重要なポイントになります。

自分だけで見るだけならば、著作権法上の問題は少ないかもしれませんが、他人に送信したりインターネット上にアップロードしたりした場合は違法となる可能性があります。

とはいえ,私の個人的な意見としては、金平氏の行為はジャーナリストとしての責任を持って書くものとされてもおかしくないかなと思います。

本の写メを撮ることは,書店や出版社、著者の権利や利益を侵害する迷惑行為であり、マナー違反として非難されるべきです。

特に、報道関係者である金平氏には、情報の正当性や倫理性に配慮する姿勢が求められるはずます。

金平氏は自身の発言について謝罪しましたが、今後はこのような発言や行為を控えるべきだと思います。

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