
むきエビがいつまでもプリプリなのは、「保水剤」という食品添加物にひたしてあるからです。
エビ本来の食感は、プリプリというより「ギュッ」とした歯ごたえなんですよ。
「炒めても縮まないし、なんだか透明なまま…」
「これって体に悪くないの?」
スーパーのむきエビを料理して、そう思ったことはありませんか。
実は、保水剤にひたしたエビは、重さが1割以上増えることもあります。
味もちょっとしょっぱくなるんです。
とはいえ、国が使ってよいと決めた添加物なので、ふつうに食べる量で心配するものではありません。
この記事では、プリプリの理由と、袋の表示での見分け方をまとめました。
家でできる下処理と解凍の手順も、エビの業者の試験や公式の情報をもとに紹介します。
読み終わるころには、料理に合わせてエビを選べるようになりますよ。
この記事のポイントは以下の4点です。
- むきエビのプリプリは、リン酸塩などの保水剤で作られていることが多い
- 保水エビは加熱しても縮みにくく、エビ本来の味はうすく、少ししょっぱい
- 見分けるには、袋の原材料名で「pH調整剤」「リン酸塩(Na)」などを探す
- しみこんだ保水剤をすっかり抜く方法は見つからない。下処理と塩水解凍でおいしくする
エビがプリプリなのはなぜ?保水剤とは何か
- むきエビがプリプリで縮まないのはなぜ?
- エビの保水剤とは?中身はリン酸塩と食塩
- 保水エビと無保水エビの違いを表でくらべる
- 保水エビが加熱しても透明なのはなぜ?
- エビのプリプリが嫌いな人もいる
むきエビがプリプリで縮まないのはなぜ?

むきエビがプリプリなのは、保水剤という食品添加物を使っているからです。
エビの輸入業者のコーラル・シーによると、保水剤には次の3つの目的があります(コーラル・シー)。
- エビをふくらませる
- 食感をよくする
- 加熱したときに縮みにくくする
昔のむきエビは、1分も炒めるとすぐ縮んで丸くなりました。
今のエビが何分炒めても縮みにくいのは、この保水剤のおかげなんです(コーラル・シー)。
同じ会社は、いちばんの効果はエビをふくらませることで、それがコストダウンになるとも書いています(コーラル・シー)。
つまり、「プリプリ=新鮮」とはかぎらない、ということですね。
エビの保水剤とは?中身はリン酸塩と食塩

エビの保水剤には、リン酸塩が使われることがほとんどです(コーラル・シー)。
多くは食塩と一緒に使われます。
コーラル・シーが試験で使った保水剤の中身は、こんな割合でした(コーラル・シー)。
| 成分 | 割合 |
|---|---|
| リン酸三ナトリウム | 35.0% |
| リン酸三カリウム | 15.0% |
| クエン酸三ナトリウム | 10.0% |
| L-グルタミン酸ナトリウム | 10.0% |
| 乳酸カリウム | 10.0% |
| グリシン | 4.0% |
| コハク酸二ナトリウム | 1.0% |
| 食品素材 | 15.0% |
(コーラル・シーの試験で使った保水剤「IS-30」の成分)
この保水剤と食塩を水に溶かして、むきエビをひたします。
業者の話では、実際にひたす時間は夜の8〜10時間が多いそうです(コーラル・シー)。
ちなみに、保水剤を使うのはふつう、むきエビです。
殻が付いていると、水が身にしみこみにくいからです(コーラル・シー)。
保水エビと無保水エビの違いを表でくらべる

保水剤を使ったエビを「保水エビ」、使っていないエビを「無保水エビ」と呼びます。
コーラル・シーが2つを1分ゆでてくらべた結果がこちらです(コーラル・シー)。
| くらべたところ | 無保水エビ | 保水エビ |
|---|---|---|
| 1分ゆでたあとに残った重さ | 86.0% | 93.6% |
| 味 | エビ本来の甘みが強く濃い | エビ本来の味が少なく、少ししょっぱい |
| 食感 | 身が厚く、ギュッとしまる | プリプリで弾力がある |
(コーラル・シーをもとに作成)
重さの変わり方も試しています。
| ひたした時間 | ひたす前 | ひたしたあと | 1分ゆでたあと |
|---|---|---|---|
| 4時間 | 402g | 445g | 412g |
| 24時間 | 409g | 476g | 433g |
(コーラル・シーをもとに作成)
24時間ひたすと、重さが1割以上増えました。
ゆでたあとでも、ひたす前より重いままです。
ただ、24時間のほうは、エビの味がうすれて調味料の味が前に出たそうです(コーラル・シー)。
保水エビが加熱しても透明なのはなぜ?

無保水エビは、加熱すると身が白く変わります。
一方、保水エビは加熱しても、中に生のような透明感が残ることがあります(コーラル・シー)。
業務用の食材を売る八面六臂も、保水剤を多く使ったエビは「透明でぷりぷり」と説明しています(八面六臂)。
ただし、コーラル・シーは保水剤に4時間と24時間ひたすのも試しています。
このときは、1分ゆでた断面は無保水と同じ白い色でした(コーラル・シー)。
どのくらい透明に見えるかは、保水剤の量やひたし方でちがうと考えておくとよさそうです。
保水エビは、色だけでは火の通りがわかりにくいことがあります。
レシピの加熱時間を目安にするとよいですね。
エビのプリプリが嫌いな人もいる
保水剤でプリプリになったむき海老の食感を嫌う層が一定数いる。
— ichitadon_com (@ichitadon_com) 2026年7月14日
「エビ プリプリ 嫌い」と検索する人もいます。
プリプリの好き嫌いは、人によってはっきり分かれるんです。
上の投稿の人は、保水剤のむき海老の食感を嫌う人がいる、と書いています。
そのいっぽうで、繊維のしっかりした海老の食感を嫌う人もいるそうです。
そして、どちらがいいかより「使い方次第」とまとめています。
保水剤でぶりんぶりんのむき海老、かなり大きめのサイズのを選んで天ぷらにしたら、総じて「プリプリでおいしい!」と好評で泣いた。
— ichitadon_com (@ichitadon_com) 2026年7月7日
同じ人は、保水剤のむき海老を天ぷらにしたら「プリプリでおいしい!」と好評だった、とも書いています。
プリプリが好きな人に出すなら、保水エビでも喜ばれるようですね。
エビの保水剤は体に悪い?見分け方と抜き方
- 保水剤のエビは体に悪い?
- 保水エビの見分け方は袋の原材料名を見る
- エビの保水剤は抜ける?抜き方と家でできる下処理の手順
- 冷凍エビを縮ませずプリプリにする解凍の手順
- 保水剤なしのエビを選びたい人はどうする?
保水剤のエビは体に悪い?

ふつうに食べる量なら、心配するものではありません。
保水剤に使うリン酸塩は、国が安全を確かめたものだけが食品添加物として使えます(FOOCOM.NET)。
気になるのは、リンのとりすぎです。
数字で見てみましょう(FOOCOM.NET)。
| くらべるもの | 1日の量 |
|---|---|
| 添加物のリン酸塩からとるリン | 265.6mg |
| ふだんの食事からとるリン(男性の平均) | 1,063mg |
| ふだんの食事からとるリン(女性の平均) | 925mg |
| リンの耐容上限量(18歳以上、食事全体で) | 3,000mg |
(FOOCOM.NETをもとに作成)
添加物の数字は、厚生労働省の2013年度の調査で、20歳以上の平均です。
ふだんの食事の数字は、2015年の国民健康・栄養調査です。
耐容上限量は、食事全体のリンがこれを超えると、体への悪い影響が出るおそれがある、という線です。
厚生労働省の調査は、リン酸塩について「安全性上、特段の問題はない」とまとめています(FOOCOM.NET)。
リンは、焼きのりやきな粉など、ふつうの食べ物にもたくさん入っています。
むきエビだけを気にするより、いろいろな物をバランスよく食べるほうが大事ですね。
保水エビの見分け方は袋の原材料名を見る

見分けるには、袋の原材料名の欄を見るのがいちばんです。
食品に使った添加物は、基本的にすべて表示する決まりです(東京都保健医療局)。
原材料と添加物は「/」や改行で分けて書かれます。
むきエビの袋で、次の言葉を探してみてください。
| 袋の表示 | どういうことか |
|---|---|
| リン酸塩(Na) | 保水剤のリン酸塩をそのまま書いた形 |
| pH調整剤 | まとめて書いてよい名前の1つ。エビではリン酸塩がこの名前で書かれることがある |
| 調味料(無機塩) | 同じくまとめて書く名前。エビではリン酸塩がこの名前で書かれることがある |
| 調味料(アミノ酸) | 同じくまとめて書く名前。うまみ調味料のなかま |
| 「保水剤不使用」「無保水」 | 保水剤を使っていない、という店やメーカーの表示 |
コーラル・シーは、エビの表示はpH調整剤や調味料(アミノ酸)、調味料(無機塩)が多い、と書いています(コーラル・シー)。
エビの業者は、エビの袋ではこうした名前でリン酸塩が書かれていることがある、と説明しています(コーラル・シー)。
ただし、袋に入れずにばら売りしている食品は、添加物を表示しなくてよい決まりです。
加工の途中で使っただけの添加物など、表示しなくてよい例外もあります(東京都保健医療局)。
量り売りのエビで気になるときは、お店の人に聞いてみましょう。
エビの保水剤は抜ける?抜き方と家でできる下処理の手順

正直に言うと、一度しみこんだ保水剤をすっかり抜く方法は、メーカーや公的な機関の案内では見つかりませんでした。
リン酸塩を使ったソーセージで試した調査があります。
切ったりゆでたりしても、リンが減ったのは1割前後でした(FOOCOM.NET)。
エビとソーセージは同じではありませんが、ゆでれば抜ける、とは考えにくいですね。
それでも、表面のぬめりや臭みは下処理でとれます。
ニチレイフーズが紹介している、むきエビの下処理の手順です(ニチレイフーズ)。
- むきエビ8尾に、塩小さじ1/2と片栗粉大さじ1をまぶす
- 手でやさしくもみこむ
- ザルに移し、流水で塩と片栗粉を洗い流す
- キッチンペーパーで水気をしっかりふきとる
塩で臭みを抜き、片栗粉にぬめりを吸わせるしくみです(ニチレイフーズ)。
保水エビは少ししょっぱいことがあります(コーラル・シー)。
しょっぱさが気になるときは、料理の塩を少しひかえると、味がととのいやすいですよ。
冷凍エビを縮ませずプリプリにする解凍の手順

冷凍エビは、解凍のしかたで縮みにくくできます。
ポイントは、海水と同じくらいの塩水で解凍することです(ニチレイフーズ)。
エビから水分やうまみが流れ出るのを防げます。
- ボウルに水500mlと塩大さじ1を入れ、よく溶かす(エビ8尾が目安)
- 凍ったエビを入れ、常温でむきエビは8〜10分、殻付きは10〜15分おく
- 指でつまんで、まん中にかたさが残っていなければ解凍できている
- 流水でさっと洗い、水気を切る。揚げるときはしっかりふきとる
(ニチレイフーズより)
家に重曹があれば、塩のかわりに重曹大さじ2で解凍する方法もあります。
重曹のアルカリでタンパク質がかたくなり、塩水よりプリプリになるそうです(ニチレイフーズ)。
プリプリが好きな人は重曹水、エビ本来の味を楽しみたい人は塩水、と使い分けるといいですね。
保水剤なしのエビを選びたい人はどうする?

保水エビと無保水エビは、どちらがよい悪いではありません。
料理に合わせて選ぶのがおすすめです。
- エビチリ、シーフード焼きそば、炒め物を作る人:保水エビが向いている。加熱しても縮みにくい(コーラル・シー)
- 塩焼き、ゆでエビなどエビの味を楽しみたい人:殻付きのエビか、「無保水」「保水剤不使用」と書かれたむきエビを選ぶ
- 病気でリンの量を医師から言われている人:袋の原材料名を見て、主治医の指示に合わせる
殻付きのエビは、保水剤がしみこみにくいので、もともと使われることが少ないんです(コーラル・シー)。
なお、無保水エビは火を通しすぎると、ギュッとしすぎてかたくなります(コーラル・シー)。
無保水エビは、加熱しすぎに気をつけるのがコツですよ。
まとめ
まずは、エビがプリプリなのはなぜ?保水剤とは何かのおさらいです。
「むきエビがプリプリで縮まないのはなぜ?」は、保水剤という食品添加物にひたしてあるからです。
「エビの保水剤とは?中身はリン酸塩と食塩」は、リン酸塩が使われることがほとんどで、食塩と一緒にひたします。
「保水エビと無保水エビの違いを表でくらべる」は、保水エビは縮みにくい一方で、エビ本来の味がうすく、少ししょっぱくなります。
「保水エビが加熱しても透明なのはなぜ?」は、保水剤で透明感が残ることがあるためです。ただ、保水剤の量やひたし方でちがいます。
「エビのプリプリが嫌いな人もいる」は、好みが分かれるので、使い方次第です。
次に、エビの保水剤は体に悪い?見分け方と抜き方です。
「保水剤のエビは体に悪い?」は、添加物のリン酸塩からとるリンは1日265.6mgで、国の調査は「特段の問題はない」としています。
「保水エビの見分け方は袋の原材料名を見る」は、「リン酸塩(Na)」「pH調整剤」「調味料(無機塩)」などを探します。
「エビの保水剤は抜ける?抜き方と家でできる下処理の手順」は、すっかり抜く方法は見つかりませんでした。塩と片栗粉でもんで洗い、ぬめりと臭みをとります。
「冷凍エビを縮ませずプリプリにする解凍の手順」は、3%ほどの塩水で、むきエビなら8〜10分です。
「保水剤なしのエビを選びたい人はどうする?」は、エビチリや炒め物は保水エビ、エビの味を楽しむなら殻付きか無保水と書かれたエビです。
次にむきエビを買うときは、袋の裏の原材料名をのぞいてみてくださいね。


