2018年のノーベル物理学賞発表
2018年10月2日, ノーベル物理学賞が発表されました。
レーザー物理学の分野で,「レーザー物理学の分野における画期的な発明」をしたということで,アメリカのアーサー・アシュキン氏,フランスのジェラール・キン氏,そしてカナダのドナ・ストリックランド氏の3名です。
残念ながら日本人は選ばれませんでした。
今回の受賞の内容の一つである「光ピンセット」
光の圧力で細胞,粒子を動かす技術ということです。
実に心躍る魅力的な名前です。
50年前のアニメ脳からみた光ピンセット
私は,この名前を見たとき,実に衝撃的でした。まるで未来が来たかのような気持ちがしました。
子どものころ,まだ白黒の時代のテレビアニメには,当時の人たちの未来へ向けての輝かしい期待と,夢から生まれたさまざまなものが登場していました。
腕時計を口に当てて会話している様子などは,かっこよくて,自分でおもちゃをつくってうでに巻き,友達と一緒に「もしもし!」なんていいながら遊んでいた覚えがあります。
あれ?近頃,よく見る光景・・。
Appleなんとかいいますね・・・笑
タイムマシンや,ロボット,時間を止める「タイムストッパー」
そんな夢の機会に交じって「光ピンセット」が急に私の脳内で輝きだしました。
私の頭の中では,実体のない光によるピンセットを持ち,時間や場所を超えたところにあるものを操作する・・・というようなものでした。
はい,完全に50年前のアニメ脳ですね。
いったい,光ピンセットというのはなんなんだ?
調べてみると,これは実にすごいものでした。
レーザー光をレンズで集めて照射,光の圧力でで細胞などをとらえて動かす,という技術なんですね。
まるでピンセットでつまむように,極小物質をほそくしたり動かしたり。
1987年に,これで生きているバクテリアを傷つけずに捕獲することに成功したそうです。
それまでは,細胞・ウィルスを生きたまま調べることができることができませんでした。補足の方法がなかったからです。
それだけでもとんでもなく画期的な発明であるという印象が強いです。
しかもその原理はすでに1970年代初頭のアシュキン博士の論文で発表されていました。
さらにすごいのは,分子レベルのものを正確に操作できるということなんです。
ということは・・すなわちDNAを操作できるということ。傷つけずに。
これはすごくありませんか。
応用の幅がものすごく広がりそうです。
光ピンセットは,レーザーの技術を工学的な分野に応用できることをしめしたわけですが,人間の認識からいえば,「光子の質量」を実感できるものにしたことがすごい,という意見もありました。
光ピンセット技術を開発したアーサー・アシュキン博士は,元ベル研究所。
2007年に経済学賞を受賞したレオニド・ハービッツ博士はそれまでの最高齢90歳でしたが,それを超える96歳。です。
まだまだ現役で,今は論文で忙しいとのこと。
いっしょに受賞した3人のうち,ドナ・ストリックランド博士は,3人目の物理学賞の女性受賞者で,55年ぶり。これもすばらしい。
でもなぜ,あまり触れられていないのでしょうか。
日本人の受賞しか興味がないのかもしれませんね。